筆者は、このコラムの読者のみなさまが、仕事やプライベートを通じて発生する日常的な「問題」で、提案したような「不祥事を防止する思考習慣」を実践し、身につけることを願っている。
しかし、なかなか日常の中で「根本的に解決したい問題はそんなに発生しないんだよな」とか「自らの話題に関係する問題だと冷静かつ客観的に考えることができないんです」という声もよく耳にする。
そこで、今回は、過去に新聞やテレビなど巨大メディアが報じたニュースを題材に「再発防止に必要なもっとも重要なプロセスである“問題の原因”と“問題の原因の除去=再発防止”」について、考えてみたい。
「ポイントは、“問題の原因を除去すること”」
まず、再発防止のプロセスを考える上で必要な用語の定義をしておきたい。
【用語の定義】
問題:お客様や組織のルール、法規制等など要求事項(ニーズや期待を含む)を満たしていないこと
再発防止:発生した問題又は望ましくない状況の原因を除去するための処置
修正:発生した問題を除去するための処置
『問題の題材1:気象予報士試験結果の通知はがきが発表日より早く届く』
気象予報士試験を実施している気象業務支援センターは、試験結果の通知はがきが、郵政公社のミスによって発表日より1日早く受験者に届いていたと発表。受験者に対し、配達日を10月6日に指定した合否の通知はがきを2日夜、委託していた印刷業者が羽村郵便局に持ち込んだが、郵便局側が誤って一般郵便物として扱い、各地の郵便局に発送したことが原因とみられる。(注:2006年10月5日の毎日新聞ニュースより抜粋)
【想定される問題の原因】
a)郵便局が一般郵便物扱いしたため
b)印刷業者が郵便局に持ち込んだ際の依頼の仕方に不備があった
c)気象業務支援センターの委託先選定および委託先への発注書に不備があった
【再発防止】
a)について
郵便局内で、合否通知はがきについて一般郵便物と配達日指定郵便物の区分け(識別)が十分でなかったとしたら、識別方法など一般郵便物と配達日指定郵便物の管理ルールを見直す必要がある
b)について
印刷業者が郵便局に郵便物が配達日指定であることを口頭など十分に確実な方法で依頼していなかった恐れがある。
もしそうであれば、持ち込んだ郵便物にあらかじめ「配達日指定」など郵便局側が勘違いしない依頼の仕方に見直す必要がある。
c)について
気象業務支援センターが委託先の印刷業者を選定する際に調査して評価する項目とその評価内容の見直しが必要かもしれない。
また、印刷業者に合否通知が「配達日指定」であることをどのように識別し、郵便局に依頼すべきか明確でなかったとしたら、その「発注方法」を見直す必要がある。
【修正】
間違った配達日に配達してしまったこと(要求事項を満たさないこと=問題)は「除去」できない。
気象業務支援センターは受験者にお詫びをするなど、問題の大きさに応じた賠償をする方法しかない。
(中編に続く)
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ118号より)
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