「世界自然遺産」登録されると今まで以上に注目を浴びてしまい局所的な自然破壊が起きるというのは何とも皮肉な話だ。
2009年5月5日付の朝日新聞の報道によると、5月4日の屋久島の入山者は連休中最多の約1000人になったという。

屋久島はご存じのとおり、1993年に世界自然遺産登録がされた。
世界遺産登録後は年々観光客が増え、2000年には約4万5千人だった観光客が2008年には約10万9千人になったという。
観光客の増大に伴い発生している課題が「山中でのし尿処理」問題。
簡単にいえば、利用者数に対してトイレの数が少なく、またし尿処理能力もオーバーフロー気味だというのだ。


自分を変える”気づき”の話-ウィルソン株ハート


記事によれば、具体的な状況としては、
1)登山ルートにある山小屋のトイレに長い行列ができる
2)山中で用を足す人が多く、森の中にトイレットペーパーが散乱し、景観を損ねる
3)小屋周辺の沢では、トイレから漏れたとみられる大腸菌も検出された
4)観光客がすれ違う登山道で普通に見られた島固有の植物も姿を消した
という。


自分を変える”気づき”の話-縄文杉登山道


私は、2007年4月28日に屋久島へ観光に行ったが、その時の経験も踏まえると、
上記2)、4)については、完全に観光客のマナーの問題である。
私の場合、山岳ガイドさんを付けたが、多くの入山者は山岳ガイドをつけている。
ガイドがいれば、登山道からコースアウトして見学することはまずできない(自然保護の観点から注意される)し、常設トイレのポイントで必ずトイレに行くことを促されるからトイレのないポイントで用を足すことはない。
仮に、用を足す必要が生じても山岳ガイドは携帯用トイレを持っているはずだ。

上記1)、3)については、「携帯トイレ」の使用促進が現実路線として有効だろう。
小屋周辺の沢で大腸菌が検出されたのは、明らかにトイレのし尿タンクがオーバーフローしたためだと思われるが、そうなると常設トイレの利用数を減らすしかない。
「携帯トイレ」とは、登山ルート5ヶ所に設置された目隠し用テントで用を足し、自動車の通行が可能な登山口まで持ち帰り専用のゴミ箱に回収されるシステムである。
町や環境省などでつくる屋久島山岳部利用対策協議会が5月2日から5日まで携帯トイレを1個500円で販売し導入試験しているそうであるが、むしろ、この導入試験期間は「常設トイレの利用者は1回当たり200円程度」使用料を徴収し、「携帯トイレ利用者には無料配布する」という仕組みで導入試験すればよかったのではないかと思う。

今後の流れとしては、
・携帯トイレを普及させる
という案の他に、
・1日300人程度に入山者制限する
という案が浮上しているという。
しかし、個人的には、「現時点での入山者制限」案には反対である。
それは、
・年間で考えれば、「1日の入山者が500人とか1000人になる日」は限られている
・入山制限より入山者の多い期間の「有料トイレ日」あるいは、「携帯トイレ必須持参日」を設ける対策の方が先である
と考えるからである。


自分を変える”気づき”の話-縄文杉全体


自分を変える”気づき”の話-縄文杉


自分を変える”気づき”の話-縄文杉の折れた枝


話は、ちょっとずれるが、樹齢が2170~7200年と言われる縄文杉(胸高周囲16.4m、直径5.1m)、あるいは記念館に展示されている縄文杉の折れた枝(といっても直径1m以上あるが)をまじかに見るだけでも「人間の歴史って大したことないなぁ」と多くの人の人生観が変わることは間違いない。

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