「週刊誌SPA!」に、2009年4月14日号から「無茶を承知で」という新連載コラムが始まった。
その連載コラムに、連合の高木会長が「最大の雇用対策は景気対策である」と発言したのに対して「不況になった方が、雇用の安定に繋がる可能性は高いんじゃないのか?」という興味深い記述があった。

その理由は、
・連合によって合意された「日本型ワークシェアリング」は「正社員の雇用も給与体系も維持して当然」という認識ではなく、「正社員の収入減」が前提である
・不況が起こる前は「いざなぎ越えの好景気」であったが、「景気が回復すれば雇用問題も勝手に回復する」と非正規労働者はそのままほったかされた
・度重なる不況の波により、安穏としてきた正社員も「他人事ではない」という認識になり既存の社会システムの変革に繋がる可能性がある
という観点からのようだ。

確かに、この意見はその通りだと思う。
多くの場合、結局のところ、政治家(政党)も経済団体も労働団体も「支持母体」があるわけで「社会正義や社会秩序維持など」を一見訴えているように見えても、「支持母体中心主義」つまり「支持母体の権利や主張を代弁する利益代表」でしかないのだ。
もっとひらたく言えば、「社会的公平性」を追求する前に「自らの権利の維持」であり、「非正規労働者の雇用問題」は、「非正規労働者の立場や権利を代弁する人がいない」ことで既存の社会システムが見直され、新たな仕組み作りがされてこなかったことが大きな要因なのだろう。

つまり、連合の高木会長の「最大の雇用対策は景気対策である」という見通しも、正規、非正規労働者をひっくるめた「全労働者」に対する考えではなく、「連合そのものの立場」つまり「労働組合員である正規労働者の雇用対策」に関する考え方であろう。

このコラムの筆者が言われるように「大不況となり、自らの立場も安穏としてはいられない」という状態にならないと、ようやく雇用慣習や福祉など個人生活に直接関わってくる社会制度などのシステム改善に本腰は入らないのかもしれない。
そう考えると、国民全体、特に非正規労働者にとっては「大不況到来は“ありがとう”」ということになる。

ちなみに、このコラムの執筆者は「赤木智弘」氏。
ウィキペディアによると(以下、抜粋)
「1975年生まれ。フリーターの立場からの社会時評を行っている。新たな貧困層である不安定雇用(=非正規雇用)者の救済を期待すべき左派勢力がその期待に答えないとして批判。「団塊世代の正社員層の所得水準を引き下げ、その分を我々に回してほしい」と主張している」
方だそうである。
この連載コラムは「隔週」のようであるが、今後の切り口が楽しみである。

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