2009年2月12日付の毎日新聞の報道によれば、2月10日にシベリア上空約790キロでアメリカのイリジウム社の通信衛星とロシアの通信衛星(約10年前から機能停止)が衝突し、大量の宇宙ゴミが浮遊していることを2月11日に米航空宇宙局(NASA)が発表したという。
記事では、
「活動中の人工衛星の衝突事故は、96年に仏の軍事衛星がロケットの残骸と衝突した例があるが通信衛星同士が衝突したのは初めて」
と報じていた。

人工衛星は、1950年代から、アメリカとソ連が競って人工衛星打上げを目指して、宇宙開発競争が始まり、現在では、気象衛星や通信衛星など現代社会の生活には欠かせないものとなった。
人工衛星の特徴は、高い高度を飛行する(気象衛星など静止軌道は3万6000キロ程度)ので、広範囲を可視域とすることができる。

したがって、通信、気象はもちろん、偵察を目的とした軍事衛星も国家戦略的観点からすると重要度が高い。
近年では、この他に、測地衛星、資源探査衛星などにより、リモートセンシング技術を活用し、埋蔵資源、環境汚染、漁場調査などが可能となっている。
つまり、「人工衛星は社会生活に欠かせないもの」となっているので、宇宙空間で飛行する人工衛星はかなりの数となっているのだろう。

どんどん人工衛星が増えると起きる問題は、
1)人工衛星同士の衝突により活動している人工衛星の機能に障害が生じる
2)活動を終えた人工衛星が廃棄物と化して宇宙空間を浮遊している
3)人工衛星の衝突により生じた残骸により、他の人工衛星に再衝突する可能性がある
などが考えられる。

しかし、人工衛星は軌道を急に変化させることは難しいのだという。
また、地球の重力などの影響による軌道変化の予測が困難なうえ衛星の数も増えている上に、人工衛星など無人の飛行物体について、衝突の危険性を監視する体制もないのだという。
当然、活動終了後の人工衛星を回収するシステムもない。

アルピニストの野口健氏が「清掃登山」をヒマラヤ、富士山など各地で実施しているが、これは、地球環境への関心が低かった時代に、登山によって生じるごみをそのまま放置し続けてきたツケによる活動だ。
「宇宙空間は広いからまだまだ問題なし」と考えていては、山岳地帯にゴロゴロしているゴミと同じ結果になってしまう。

人工衛星は、開発費、開発期間の問題より、観測などの機能を絞った小型衛星が民間レベルで今後、ますます打ち上げられることが予想される。
つまり、
・衝突の危険性を監視するシステム
・廃人工衛星を回収するシステム
の確立が急務であることは間違いないだろう。

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