言われるようになって久しいが、最近は本を読む人が本当に居ないのだという。
「本」というと「紙で書かれた小説やビジネス書、ハウツー本」などを想像するが、漫画や新聞すらも読まなくなってきているという。

そのため、出版社、新聞社などは首を揃えて「討ち死に」状態なのだ。
天下の朝日新聞が2008年度は相当の赤字になるようであるが、出版御三家と言われている講談社、小学館、集英社も数字上は見栄えの良い状態にしているところもあるらしいが、基本的には真っ赤っからしい。

新聞業界も出版業界も業界が成熟しているので、「どこかがつぶれればそのパイが回ってくる」と「業界自体がなくなるわけはない」との幻想を抱いている人も少なくないらしい。例えば、新聞業界であれば、某S新聞や某M新聞がつぶれたら、そのパイが回ってくるからうちはなんとかなる、と思っているその他の大手新聞もあるようである。
しかし、傍から見れば「某SやM新聞が無くなればその殆どの読者は、他の新聞には移行せず、インターネットなどの情報に行ってしまい、むしろ業界全体のパイは縮小していく」と思う。
「他がつぶれればうちは生き残る」という発想自体が古く、時代を読めていない、と思う。

「本離れ」は、確かに、電車に乗っていても、実感する。
私が社会人になった頃は、夕刊フジや日刊ゲンダイを読むサラリーマンがたくさんいた。
しかし、今、社内でそれらの夕刊紙を読んでいるのは、40代後半以上がほとんどだ。
つまり、当時からの読者層が引き続き読んでいるだけで、若年層の読者を掘り起こしていない。
また、本を読んでいる人が減ったのは顕著に気づいていたが、漫画の単行本や週刊または月刊の漫画本も読んでいる人は少なった。
そして、それらに代わって車内で多くの人は、「携帯」をイジっている。

映画や音楽、漫画ファンの人に聞いても、「よくないことではあるのだろうけれど」と前置きして、たいていは、ファイル交換ソフトなどを通じてネット上に流通している正規ルートではない方法で情報を入手することが多いから、自らお金を出して買うことはほとんどなくなった、という人も結構いる。

「情報はネットから」というのが「情報の入手方法の一般的方法」になっているので、「本など紙メディアを見てネットでチェック」という情報経路は少ないらしい。
つまり、このことは、「商売を始めようと思ったら、紙媒体で広告や宣伝をして商品や名前を売ろうとしても売れない」ことを意味している。
そうなると、当然、広告主は既存のメディアを徐々に使わなくなるから広告料がガタ減りし、メディアは「広告量の減少と読者(視聴者)の減少」というダブルパンチに見舞われることになるのだ。

たぶん、ここまでの話を聞いて、「またまたぁ~、そんな・・・」と感じる人は昔の人。
若者は「何をいまさら当たり前のこと言ってるの?!」という想いであろう。

実際、メディア、例えば、出版業界というど真ん中にいる人ですら、この状況をまだまだ実感していない人は多いらしい。
だから、そういう編集者は「(老舗業界が考える)価値の高い内容&ボリュームのある情報量」という本や雑誌作りになる。
だから、売れる本や雑誌作りができているのは、既存の常識を打ち破れる新興勢力である。
例えば、女性ファッション誌にしても、ひと昔前は、「Can Cam」「JJ」「ViVi」「Ray」などが主流であったが、いまは、これらの発行部数はピーク時にはるか及ばない。
そして、「小悪魔ageha」というギャル系ヘアメイク&雑誌が売れている。
この雑誌の目指すところは「キャバ嬢の教科書」であるから、既存の雑誌にはとても真似できない発想だ。

本にしても、昨年、文芸社から出版した「血液型別自分の説明書」がバカ売れしたが、この本を老舗大手が作るとしたら、本のコンセプト、内容の真偽の精査など出版に至るまでの社内の「各関所」で引っかかるし、引っかからなかったとしても、膨大な時間を要するだろうから、なかなかチャレンジできない。

「時代がどのように変化しているのを的確に把握する」
「既存の概念、常識を打ち破る」
ことがビジネスを永続的に成功させるためのポイントである。
ただ、分かっていても、なかなか過去に成功体験を持つ人はできるものではないと言えるのだろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ107号より)

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