各テレビ局の報道番組がメインキャスタークラスをワシントンに送り込んでいたので、就任演説は深夜であったが、思わず起きて見てしまった。
演説内容を聞いての感想は、各メディアやコメンテイターが語っているように、
・「善悪二元論」のブッシュ政策を最初から否定している
・国民に努力と勤勉の責任を求めている
という点がやはり印象に残った。
ライブ中継中の同時通訳ではよくわからなかったので、「gooニュース」が演説を翻訳した全文から「気になった演説での言葉」を演説の時系列で拾って、下記に引用する。
(気になった演説の引用ここから)
1)暗雲かき曇り嵐が吹きすさぶ中でも、繰り返されてきたのです。こうした時でもアメリカは歩き続けてきた。それはただ単に、高位高官にある者たちの才覚やビジョンによってではなく、「We the People (私たち)」が、祖先たちの理想を大事に守り続け、建国の文書に忠実であり続けたからです
2)私たちの経済はひどく弱体化してしまった。一部の人の強欲と無責任のせいではあるが、私たちみんなが全体として、新時代に向けて厳しい選択をして国を準備してこなかったせいでもあります
3)私たちの医療保険は高過ぎる。この国の学校はあまりにあちこちで破綻しすぎている。そして私たちのエネルギーの使い方は、敵を勢いづけて、この惑星を脅かしている。その新しい証拠が、連日のようにあがってくる
4)数字では計りにくいが同じくらい重大なのが、国中にはびこる自信の喪失です。アメリカの衰退は避け難いものだという、いかんともしがたい恐怖。そして次世代の国民は期待の水準を下げなくてならないという不安。こういう自信の喪失のことです
5)私たちが問いかけているのは、政府が大きすぎるか小さすぎるかではなく、政府がきちんと機能しているかどうかです。国民がまともな給料の仕事を見つけられるよう、政府が協力しているかどうか。高すぎない医療サービスが提供できているかどうか。尊厳ある引退生活を提供できているかどうか。「イエス」と言える分野についてはこのまま続行するし、「ノー」と言う分野についてはその政府事業は終わりにします。そして国民の税金を扱う我々は、賢明に使い、悪い習慣を改善し、透明性の高い形で仕事をするよう、責任を負う。そうしなければ、国民と政府の間に不可欠な信頼を回復できないからです。
6)問われるべきは市場の善悪ではありません。富を作り出し自由を拡大するためのものとして、市場ほど強力なものはない。けれども今回の危機で、きちんとした監督がなければ、市場は無軌道で野放図な動きをしてしまうと、改めて思い知らされました。さらには、富める者しか厚遇しない国は、あまり長いこと繁栄できないのだということも、今回改めて分かりました
7)私たちが成功するには、勤勉や正直、勇気や公平、寛容と好奇心、忠誠と愛国心といった価値観が必要なのです。昔からの古い価値観です。真実の、本物の価値観です。そういう価値観こそが、私たちの歴史をずっと静かに前進させてきたのです。今何が求められているかというと、こういう真実に立ち返ること。私たちに今求められているのは、新しい責任の時代に入ることです。全てのアメリカ人が、自分たち自身への責任と、国への責任と、世界への責任を認識することが必要です。嫌々、不承不承に責務を担うのではなく。難しい仕事に全身全霊を尽くすことほど、心が充実し、人格を作り上げてくれるものはないのだとしっかり認識した上で、進んで喜んで責任を受け入れることが、今必要なのです
(引用ここまで)
少々、「道徳の時間」的な言葉が並ぶところもあるが、まさにブッシュ政権が志向してきたことを、
「アメリカの現状と本質的価値観(道徳)とを照らし合わせ、我々は改めなければならない」
と訴えているところは印象的だ。
特に、上記7)の部分の
「新しい責任の時代」
「全てのアメリカ人が、自分たち自身への責任と、国への責任と、世界への責任を認識すること」
「嫌々、不承不承に責務を担うのではなく」
「難しい仕事に全身全霊を尽くすことほど、心が充実し、人格を作り上げてくれるものはないのだとしっかり認識した上で、進んで喜んで責任を受け入れること」
と言う言葉の内容は、当たり前すぎるが、国が成長する上で、一人ひとりが認識し理解すべき一番のポイントである。
(※ちなみに、仕事の規範である「マネジメントシステム規格」でも組織が成功するために組織の要員が認識すべきこととして規定されている)
オバマ大統領はケネディ大統領とよく比較されるが、7)の部分は、ケネディ大統領の名演説である、
「国が我々に何をしてくれるのかを問うのではなく、国に我々が何をしてくれるのかを問うのだ」
に通じるものがある。
その他の部分についてもポイントとなる考え方のキーワードだけ上げると、
「高位のものや才覚のあるものだけが国を引っ張ってきたわけではない」
「経済が弱体化したのは厳しい準備の選択をしてこなかった我々の責任」
「数字だけでは測れないものがある」
「大きな政府や小さな政府にすることが目的ではなく、機能しているかどうかが問題」
「市場はきちんとした監督が必要」
などが印象に残ったが、まさにその通りである。
今後、オバマ大統領が、具体的にどのように就任演説での決意を実行していくのかが楽しみなのである。
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