これからの組織経営は『“選択と集中”を前提とした経営路線を策定すべき』、という話を、今までに何度か事例を通してしてきた。
しかし、中小零細企業や自治体においても同じような考えでよいのか、少し考察してみたい。

中小零細企業の特徴として「自転車操業」が挙げられる。
「自転車操業」と言えば、通常は、資金と商品がどうにか回っていくことや、資金の借入れと返済がどうにか回っていくことをいう。
しかし、ここで定義する「自転車操業」とは「顧客重視の姿勢で考えることとそれを実践することが常に回り続けていくこと」を指す。

中小零細企業の強みは、何と言っても「意思決定が早く小回りが利き、一人の頑張りでも実績が出る点」だ。
コンサルティングを通じて成功している中小零細企業の特徴は、
1)大企業ほどではないものの、製品の改良・開発を主に自社で行う企業が多い
2)営業・販売活動を主に自社で行う企業が多い
3)大企業ほどではないものの、自主的な判断で新分野進出を行う企業が多い
とだといえる。
つまり、成功している中小零細企業は、「製品の改良・開発や営業・販売をアウトソースせず、積極的に自らの判断で新分野進出を行う企業家精神を強く持っている」のである。

また、中小企業は、意思決定の小回り性・機動性を経営上の強みとしている。
したがって、大企業では応え難い顧客の要望やニーズ、期待といった細かな変化に応じることができる可能性がある。

つまり、中小零細企業には、前述した「自転車操業」=「考えることと実践すること」により顧客ニーズに合わせたスピードで事業を行うことができるのだ。
要は、「競合他社中心」、「自社中心」の経営路線を捨て、「顧客重視」=「顧客の心をつかむマーケティング」によって製品やサービスを深く掘り下げることができる。
すなわち、一心不乱に市場競争論理や従来型思考にこれ以上振り回されないという方針を採ることが中小零細企業の強みになるのと考えられる。

また、自治体組織も大企業と同じような利益至上主義に基づき組織や行政サービスを簡単に「選択と集中」するわけにはいかない。
自治体など行政組織は、縦割り組織が原則であることは、責任と権限が問われる行政組織の宿命だ。
市民の要求やニーズがある限り、規模は縮小しつつも行政サービスは残さなければならない場合もあるだろう。

したがって、中小零細企業や自治体は「継続的な自転車操業をする」つまり「顧客重視を基本として考えたことを実践するというサイクルを延々と回し続ける」ことが経営路線を策定する上で考慮すべき必須事項となるのだ。
(後篇に続く)
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ106号より)