少し話が逸れるが、企業戦略を考える上で考慮すべき「7つのS」の話をしてみたい。
企業にはまず戦略があり、それがシステム(制度)や組織の構成につながっている。
そして、これらが企業の価値観を生み、必要な人材、スキルを決定づけ、組織特有の文化を作っている。
この7つのSのうち、前者(戦略、組織、システム)の3つをハードの3S、後者(価値観、スキル、人材、スタイル)の4つをソフトの4Sという。
「7つのS」
(ハードのS)
1戦略(Strategy)
事業の優位性を保つための強み
戦略上の優先順位、事業の方向性
2組織(Structure)
組織の形態(事業部別組織、機能別組織)、部門間の地位など
3システム(System)
評価・報酬・採用・育成の仕組み・制度
(ソフトのS)
4価値観(Shared Value)
従業員が共通認識している価値観
5スキル(Skill)
組織全体に備わっている技術
(販売力、技術力、マーケティング力など)
6人材(Staff)
個々の人材の能力
7スタイル(Style)
会社の社風、組織文化
この「7つのS」は、「変えることが容易なものから順番に並んでいる」と認識してよい。
つまり、「ハードのS」は企業努力によって比較的短期間で変更できるが、「ソフトのS」を変えることはなかなか容易ではない。
ここで原田会長の取った戦略の「既存店を閉鎖しないこと」に戻ると、拡大路線の一般的な方法論である「急速な出店」と「不採算店舗の閉鎖」は、単に収支上の議論だけである。
「出店」は、資金さえあれば比較的容易に準備できるシロモノである。
しかし、「不採算店舗の閉鎖」は時間を掛けて醸成してきた経営資源である「ソフトのS」を瞬く間に破壊してしまうわけだ。
つまり、「既存店の閉鎖」によって店舗の業務管理はぐちゃぐちゃになり、QSC(品質、サービス、清潔さ)は一気に低下してしまうのである。
3つ目の「来店頻度(購買回数)を伸ばすこと」(当初は、客単価が落ちるがしかたがない)
は「24時間営業」と「100円マックや100円コーヒーの導入」である。
これにより、食事を済ませた客の来店にもつながった。
4つ目の「メニューを絞り込むこと」
は、強みを明確にするための戦略である。
要は、マクドナルドとして独自性のないメニューは削除したわけだ。
メニューの絞り込みは、キッチン部門のオペレーションの効率化にもつながった。
この4つを徹底したことによって、既存店は息を吹き返し、マクドナルドは復活を遂げたのだ。
ここから言えることは「既存店の改善」と「既存顧客の購買回数の改善」という点に経営資源の投入を集中させたことが成功要因だということがいえるだろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ105号より)
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