2008年12月18日付の読売新聞の記事で、
“阪急は「コスト減より安全」…子会社駅員ら840人本社雇用”
という見出しの記事が掲載されていた。

記事によると、

・阪急電鉄は、子会社に在籍する駅員や乗務員ら約840人を2009年10月1日付で本社の直接雇用に切り替える方針を決めた
・駅業務などの分社化でコスト削減を進めてきたが、「安全強化を図り、社員の士気を高めるには、本社による一括雇用が必要と判断」した

という。
つまり、直接雇用に切り替える必要性は「安全強化」が最大の目的だということのようだ。

「安全性が懸念」される具体的状況としては、以下のようなケースがあるようだ。

1)賃金格差による士気の低下
子会社に在籍する社員の業務に車掌業務があるが、「車掌」には、阪急電鉄電鉄所属の熟練車掌と子会社所属の車掌が存在する。
子会社所属の社員は力量向上のために、本社に出向するケースが生じるが、その結果、賃金や福利厚生面で格差が出るので、その結果、現場業務の士気の低下が懸念されている。

2)タイムリーな指示命令の低下
乗客同士のトラブルなどが近年増加し、運転指令、駅、乗務員が連携して対処する機会が増えた。
つまり、現場への指示命令、連絡系統が直接的かつタイムリー、円滑に実施されるべきであるが、駅職員や車掌など乗務員を子会社所属にしているために、運転士(本社所属)から直接に業務指示をすると、「偽装請負」を疑われる。
したがって、迅速な対応が損なわれる可能性があると懸念されている。

阪急電鉄のこの動きは、「人件費削減について、職員を子会社所属にするなど単純に進めていくと業務に問題が生じる」ことを教えてくれた事例だと思う。
「人件費削減」というと、「職員雇用の子会社化」「職員の派遣労働者への切り替え」が常套手段であるが、そもそも狙い(ホンネ)が「人件費削減のみが目的」なので、うまくいくはずがない。
「マネジメント」の本質論で考えれば「外注に出す業務上のメリット」「派遣労働者とするメリット」について、「人件費削減以外の付加価値向上」が目的としてないのであれば、業務としての総合的価値は低下するだけである。

「業務改善」というと、「利益率」「売上」「労務費」「管理コスト」「材料費」など数字でしか捉えていない経営者や管理者が多いが、顧客満足など業務の本質を追究したプロセスやシステムの改善のない「数字だけの向上には、は必ずひずみが生じている」ことを肝に銘じるべきであろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ104号より)

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