その会社では、現在、「コンプライアンス」、「業務コストの削減」、「継続的な業務プロセスの自主的な改善」を柱に社内改革を行っている。
話をお聞きした方は、このうち、コンプライアンス部分を主に監査する人なのだが、コンプライアンス上の問題や懸念される事項がが見つかっても、
・今までそのやり方でやってきた(なぜ変える必要があるんだ)
・仕事のやり方を変えろ、正せ、というならそうするが本社で決めてくれ
とまるで当事者意識がなく、がっかりした、というのだ。
現業部門では常に数字を出すことが求められているから、
「こうやれと言われればやるよ、だけど自ら意識を持って継続的にみなしをしろと言われても、そんなことやってられない」
という雰囲気なのだそうだ。
「それは、その部署の責任者がそう言っているだけで、部下の人などその他の職員の意識はどうですか?」
と聞くと、
「上司がそういった考えを持っているから、若い部下たちもそういう考えにどっぷり染まりつつありますね、最初は皆がそうだったわけじゃないんでしょうけれど・・・」
と感想を言われた。
一般論として、管理職の人事異動がある程度の頻度で行われる組織であれば、「コンプライアンス」「業務改善」などに対する取り組みが日々の仕事に対する意識の中で二の次になっている上司がいても、何年も連続してそういった思考の上司ばかりがその部門を取り仕切ることがないだろうから、「まともな思考を持った部下(人材)」がちゃんと育つ。
しかし、上司が、
「数字がすぐに出ることに関心があり、属人的な業務のやり方であろうが、結果がすべて」
というような思考の管理職の人が長い間、異動もなくその部門を取り仕切っていたら、仕事に対する健全性のある真っ当な思考を持った人材は育ってこない。
そして、最悪なことに、どんどんそういった思考の人材を増やし、増殖させていってしまうから組織としての悪い風土が完全にはびこってしまう。
その人曰く、
「事業環境だけでなく、法規制や社会常識、規範、顧客のニーズや期待は絶えず変化しているから、そういった状況の変化を常にウォッチして仕事のやり方を継続的に改善していく思考が大事ですよね」
ということを監査では気づいて欲しいだけなのに、
「自分たちは、教わってきたこと、社内で決められていることを守って仕事をしているだけだ。変えるのはいいけど、それは本社が決めて指示してほしい」
なんて言われるとがっかりしますよね
とおしゃっていた。
この人とは、雑談レベルでの会話だったので、
「頑張っていくしかないですよね」
でこの時の会話は終わった。
組織の役割や権限など組織改編、業務手順の作成・改善、施設や設備、給与や人事制度など社内制度などは組織がそれなりのお金を投じて取り組めば、時間的には比較的短期間で「形式的な体裁」はなんとか揃う。
しかし、人材の能力、思考習慣、社内風土、価値観などは、本質的な改善をするためには相当の時間がかかる。
組織がこういう状態の時は、
「会社が、うちの組織の改革すべき点は根が深い、じっくりと腰を据えてやらねば何も変わらんぞ」
という認識で改革に取り組まないと、結果的には何も変わらない、というさびしい状況になるんだろうな、と思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ102号より)
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