「我々の事業計画や長期戦略の誤りが理由ではない」
この言葉は、2008年11月に開催された米議会での公聴会に出席したGMのリチャード・ワゴナー会長の発言だ。
つまり経営危機の原因は、「金融危機が原因である」と言っているのだ。

ニュースでこの発言を聞いた時に、「おいおい、製造業としての本質である顧客重視や顧客満足を追求する経営姿勢が薄れていった結果じゃないですか!!」と違和感を持った。
はっきり言えば、GMは「自動車製造業としての本質を追究して利益を出すことよりも、てっとりばやく利益を出せる金融業に走った結果」が最大の失敗の原因である。

確かに、ワゴナー会長が言うように、GMはサブプライムローン問題で4兆5千億円もの損失を計上したわけであるから、経営危機の直接の原因は金融危機ではある。
ただ、GMの実態はすでに製造業ではなく、金融業に業態転換している。
つまり、自動車ローンのファイナンス会社として金融で稼いでいるのだ。

では、基本である販売シェアはというと、米国内での自動車の月間新車販売数でビックスリーが占める割合は、7月と11月に50%を切っている。
経営陣は、それらの原因を
「米景気の減速やガソリン価格の高止まり」
としているが、それが原因であれば、他社も売り上げは減るはずである。
単純な話であるが、つまり、ビックスリーが失ったシェアは日本メーカーなどが奪ったのである。

では、なぜビックスリーは日本メーカーなどにシェアを奪われたのか?
いくつか原因はあると思うが、
・ガソリン価格の高騰により大排気量車の売れ行きが落ちた
・燃費の良い車が好まれるようになった
・消費者の嗜好の変化を読み切っていなかった
などがあげられるだろう。
すなわち、これらはまさに「顧客重視の方針で効果的な事業計画や長期経営戦略を打てなかった」ということに尽きるのだ。

「クルマの嗜好」とは世界的に見て世代間で大きな差があるといわれている。
つまり、自分の年代より上が好んだ商品を否定するという傾向がどこの国にもある、というのだ。
私達が抱く米国での日本車のイメージは、
「価格は安いし、燃費はいいけどデザインに重厚感がない」
などと米国人には思われているんだろうな?
と考えるし、一昔前の世代は、確かにそういった嗜好があったようだ。

しかし今では、
「同じ価格帯の米ビッグスリー製に比べて車両重量がやや軽く、エンジン排気量もやや小さめだが、その分だけ燃費が良く、しかも装備品が充実している」
という点が評価されているのだという。

上記のような観点で考察してみると、ビックスリーの失敗は、
1)製造業の本質を忘れててっとりばやく利益が出る金融業に頼った経営をしたこと
2)顧客満足度の変化を機敏に捉えてそれに対する効果的な戦略を打てなかったこと
に尽きるのである。
なんだか、バブル経済期の日本企業の多くが、本業以外の不動産投資などに手を出した時の状況とビックスリーの失敗がまるで重なるではないか、と思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ102号より)

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