(前篇からの続き)
よいコミュニケーションを取るためには、「情報が整理されている」「情報が正確にやり取りされている」必要があるのだが、注意すべき概念がある。
それは、アメリカの文化人類学者エドワード.T.ホールが唱えた「ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化」である。
「コンテクスト」とは、「言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性」などのことで、ハイコンテクスト文化とは、コンテクストの共有性が高い文化をいう。

要は、ハイコンテクスト文化は、「共有する時間が長くなれば伝える努力やスキルがなくても、お互いに相手の意図を察しあうことで、なんとなく通じてしまう環境がある日本のような国」のことなのだ。
一般的には、欧米や貧富の差が激しい国ではコンテクストの共有性が低くなる。

育った環境や国の文化的背景によってコンテクストは大きく異なるので、意識したコミュニケーションを取る必要がある。
ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化におけるコミュニケーションの違いを整理すると、

「ハイコンテクスト文化」 (聞き手の能力を期待している)
1)直接的表現より単純表現や凝った描写を好む
2)曖昧な表現を好む
3)多く話さない
4)論理的飛躍が許される
5)質疑応答の直接性を重要視しない

「ローコンテクスト文化」(話し手の責任が重い)
1)直接的で解りやすい表現を好む
2)言語に対し高い価値と積極的な姿勢を示す
3)単純でシンプルな理論を好む
4)明示的な表現を好む
5)寡黙であることを評価しない
6)論理的飛躍を好まない
7)質疑応答では直接的に答える

どうしても、ビジネスにおいて、身内でのコミュニケーションが多いと、ハイコンテクストなコミュニケーションが自然と身について行ってしまう。
すると、例えばなしの内容も限られたネタで通じ合ってしまうケースが多いので、日常の情報収集のアンテナの範囲や指向性が限定されていく。
つまり、話の幅が狭い人になる。

ビジネスの世界では、必要な情報を瞬時に効率よく取捨選択し、振り分ける能力が必要ではある。
しかし、「人は経験したこと、または、類似した経験や知識がないと、受け取った情報を想像して理解することができない」ということを認識しておくことも大事だ。
つまり、「この情報は無駄」と決めつけずに、幅広く、豊富な経験や知識を高めておくこともコミュニケーション力向上には重要なのである。

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