そういった質問をいただく時は、次のように答えている。
「“朝起きたら歯を磨く”、“人にあったら挨拶をする”、“お世話になった人には御礼状やメールなど感謝の気持ちを伝える”など人として“常識”と言われることが出来ている人はをは、意識せずとも自然に行動していますよね。
だけど、自然に行動できるようになるには親や先輩から躾(しつ)けられて、“意識的に行動する段階”があったですよね。
つまり、ロジカル・シンキングも最初は“ロジカル・シンキングの基本的なものの見方や考え方を学んで、日常生活の中で意識的に行動する必要があるんですよ」と。
それでは、「ロジカル・シンキングの基本的なものの見方・考え方」にはどのようなものがあるのだろうか?
今回は、「全体像を捉えて部分に着手するための3つの“定石”」についてお話します。
【ミッシー】
ミッシーとは「モレやダブりがない状態」という意味です。
全体像を捉える時は「モレやダブりがない状態でものごとを整理すること」が重要です。
たとえば、クレームが年間を通じて何10件と発生しているときに、その1件1件に対する対応は取っていると思います。
しかし、「組織としてクレームが再発しないような仕事の手順の見直しに着手すること」はクレーム内容にもよりますが、おそらく後回しにされているでしょう。
もっとも、手順の見直しに着手するのは後回しでもいいのですが、「再発防止を図る」ためには、「クレーム原因の洗い出しにモレやダブり」があっては効果的な対策が取れません。
もちろん、結果論としては、「クレーム原因は洗い出したけど効果が低いから根本的な再発防止はせずに注意喚起を図る」という対応策があってもいいでしょう。
それは、「クレームの再発防止を図るための経営資源をどこに集中させるべきと判断したか」の意思決定した結果だからです。
効果的な意思決定を行うためには、「モレやダブりがない状態」でものごとを捉え考える必要があるのです。
【フレームワーク】
フレームワークとは、全体の枠組みを明確にしたものです。
つまり、全体を捉える時に、その全体を構成する要素を明確にする」という意味があります。
「全体を構成する要素を明確にする」場合、そのフレームワークはミッシーになっていることが必要です。
ミッシー(モレやダブりのないこと)を意識して構成要素を明確にしないと、スムーズに情報が整理できないですし、それは、すなわち、適切で無駄のない効果的な評価・分析、意思決定ができないことになります。
代表的なフレームワーク(構成要素)は、
『経営戦略』:3C
・顧客(市場):Customer
・競合他社:Competitor
・自社:Company
『製造業の品質管理』:4M
・材料:Material
・作業方法:Method
・機械・設備・冶具:Machine
・作業者:Man
『生活に必須な最小要素』:衣食住
・衣:衣料
・食:食料
・住:住居
などです。
たとえば、製造したした製品を安定して生産するために、「作業者の教育」ばかりに目が行ってそこばかり管理し、その他の要素を忘れると偏った見方や評価・判断をしてしまうことにつながります。
つまり、フレームワークは、偏った見方や考え方に陥らないために重要です。
詳細に着手する前に全体の構成要素とその割合など全体像をつかむためにフレームワークを明らかにすることが必要なのです。
【モデル化】
ものごとを自分が理解するときは、人は無意識のうちに今までの自分の経験の中で近いモデルに置き換えて、ものごとを単純化し、理解しています。
これは、ものごとを人に伝える時も同様で、相手が理解できる話題にモデルに当てはめ、ものごとを単純にして、まずは相手に伝える。そして、ある程度理解できたところで詳細説明をしています。
たとえば、かつて日本の会社は欧米人からは「ブラックボックス」に見えたのです。
つまり、会社の仕事の仕組みがまるで見えないが、結果(製品やサービス)は優れた物を生み出している。
中身は見えないし、よくわからないけど、なぜか立派なアウトプットが出てくる・・・だから日本の会社は「ブラックボックスのようだ」と思われたのです。
ただ、文化の違いはあるにせよ、「組織として仕事をする上での普遍的な決まり事」は必ずあるはずです。
そこで、1990年代初頭に国内の輸出産業を中心に「ISO9001の認証が取引の条件」となったのです。
ISO9001は、「組織が提供する製品やサービスを生み出すために必要な経営管理の仕組み」をモデル化したものです。
つまり、買い手にとって安心できる組織に必要不可欠な最小限の決まり事をモデル化した規格が「ISO9001の要求事項」と言えるでしょう。
組織の仕事全体を「モデル化」して考えると、組織構造全体が「買い手(顧客)にとって安心できる仕組みに改善すること」が可能となります。
組織にとっての問題や課題が発生した時に仕事の仕組みを見直すことは重要ですが、それだけでは細部の改善を繰り返すばかりで、下手をすると「部分最適化」が図られるだけで「全体最適化」が図れず、結果として効果的な組織における仕事の仕組みを再構築(継続的な改善)できない結果につながるでしょう。
複雑なものごとを理解し考える時は「モデル化して単純化する」ことを意識的に行うことが重要です。
他人に理解されないということは、賛同も、協力もしてくれる関係が築けないことにもなるのです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ99号より)
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