ロジカル・シンキングを思考習慣として身に付けるには、「目的」と「目的を達成するための方法」を常に意識することが重要です。
これを意識していないと、気が付いた時には「目的」と「目的を達成するための方法」がごっちゃになり、「目的を達成するための方法論」が重視され、必要以上に注力し、「方法論を完遂すること」に悦になっていたりします。

【目的と目的を達成するための方法論】
最近、「QCの7つ道具」(グラフ、・管理図、特性要因図、パレート図、ヒストグラム、チェックシート、散布図、層別)を指導する講習会を担当する機会があった。
参加した受講生の中には、すでに自社の品質保証部門やマーケティング部門で「QCの7つ道具」を日常的に作成している人もいて、グループ演習をすると、こちらが想定した演習時間よりもはるかに速く図表を作成するグループもあった。

しかし、「QCの7つ道具を使って作成した図表より何が言えるか考えてみましょう!」というと、途端に演習の実施するスピードがおち、キョトンとしている。
中には「俺たち、上司から“QCの7つ道具について勉強してこい”と言われたんだけど」というような顔をしている人もいた。

そこで私が「QCの7つ道具はあくまでも問題や課題を抽出するための方法論のひとつなんですよ。あくまでもQCの7つ道具は、問題の再発防止や未然防止、仕事の改善のためにその原因や要因を突き止める手段に過ぎないことを意識してください」という話をすることになる。
気が付くと、QCの7つ道具を使って「見た目がきれいな図表を作成する」ことが目的となってしまう。
つまり、「問題の原因が最初からわかっているようなケースでは無理にQCの7つ道具を使う必要がない」という「なぜQCの7つ道具を使う必要があるのか?」という原点を忘れてしまうのだ。

【常に目的を意識する習慣】
目的を達成するための方法論に迷ったり、困ったときには「常に上位の目的に戻って考える」という習慣が重要です。

例えば、「ファッションモデルになりたい」という目的があったとします。
「“ファッションモデルになる”という目的を達成するための方法論」としては「スタイルを良くする」というひとつの方法論が出てきます。
では「スタイルを良くする」という「下位の目的」を達成するための方法論としては「ダイエットする」というひとつの方法論が出てきます。
さらに「ダイエットする」という「下位の下位の目的」を達成するための方法論としては「栄養バランスを考えた食事をする」というひとつの方法論が生まれます。

つまり、「目的を達成するための方法論は下位の目的」になるのです。
したがって「目的を達成するための方法論」に困ったり、迷った時には「なぜ栄養バランスを考えた食事をするのか」を問いかけ、さらに「なぜダイエットするのか」「なぜスタイルを良くするのか」を問いかけて、最終的に「ファッションモデルになる」という目的に戻れば、今まで考えて来た「目的を達成するための方法論」を見直すことができるわけです。

そうすると、他の目的を達せ薄るための方法論である「ファッション業界の知人を作る」とか「ファッションセンスを磨く」といったような別の下位の目的を検討することもできるわけです。

人は気が付くと「方法論を達成することのみに邁進し、そもそもの目的を忘れがち」になります。
もちろん「一度決めたことはやり通す」という精神力や根性は素晴らしいものですが、気が付くと「方法論が目的と化してくる」ことがあるので、常に下位の目的に対して「なぜ?」という問いかけをして上位目的や上位の上位の目的を正しく認識することが大切です。
こういった思考習慣を日常的にしていくことが「ロジカル・シンキングを身に付ける」ためには重要です。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ97号より)

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