2008年11月8日のR25( http://r25.jp/ )のコラムに、各自治体で「希望降任制度」を採用するところが続々と増えているという記事が掲載されていた。
「希望降任制度」とは、文字通り「職員が自ら希望して職位を降格する」制度である。

例えば、東京都では希望降任制度を2001年に管理職を対象として採用した。
2008年4月時点では、この制度を活用した管理職が3人いて、その中には「課長」から4段階下の役職である「主任」になった人もいるというのだ。
東京都では、今年の4月からこの制度が適用できる範囲を管理職だけでなく、一般職にも広げた。
すると、驚くことに、これまでに20人弱の「降格希望者」がいたという。

降任制度では、東京都の場合、部長から課長なら約100万円、部長からヒラなら約200万円も年収が下がる。
年収が下がってでも、役職を下げたい理由は、
1)家庭の事情(子育てや介護に直面し、自分の職責をまっとうできない)
2)仕事に対するストレス除去(職位が上がると責任が増えストレスが増えるため)
などだそうだ。

希望降任制度の狙いとしては、「メンタル面を考慮し、個人に配慮することで組織の活性化につなげたい」「能力主義という意味から、従来の年功序列をあらためる狙い」が背景にはあるようだ。
公務員の場合は、昇任制度が確立しているので、入職年次、入職時の採用区分などにより、大きなミスがなければ、民間企業と比較してほぼ横並びで職位が上がっていく。
しかし、そのことによって「管理職としての能力に疑問符があっても職位が上がる」という「本人の希望と力量が考慮されていない」という現実もあるだろう。

私がコンサルティングで関わる組織は民間企業が多いが、ある時、担当していた事業部長から「業務改善など各種プロジェクトを進めることになっていろいろと管理職にやらせると、“役職を下げて欲しい”という声が一部に出てくるんで困っているんですよ」と言われた。
理由を聞くと、
1)今までやっていた仕事以外に仕事が増えるのはイヤだ
2)管理能力を高める教育を受けているが、そのような管理は自分にはできない
などだという。
つまり、「仕事と責任が増えるぐらいならヒラにしてくれ」というのだ。

「サラリーマンたるもの、自分の能力を高め、出世することを目指すもの」という価値観が当たり前だと思っていた私には、ちょっと衝撃だった。
しかし、現実や背景を聞くと、なるほど、とも思った。
つまり、
a)管理職手当をもらっても仕事と責任が増えるのは割に合わない
(ヒラでも残業代で管理職に近い(または多い)収入になる)
b)実家が農家や酪農をやっていて、「定収入を得るためにサラリーマンをしている」人が管理職に多い(要は、メインは家業。だから、あくせく、ガツガツとは働きたくない)

社員を一律の価値観に押し込めて管理・統率する方が組織としては管理しやすい。
しかし、その管理方法だと、組織の目指す基本的なスタイルに合わない人は排除せざるを得ない。
人材の育成、採用の労力に多大なコストがかかる今、その人の特性や特質、事情に応じた「適材適所の配置」など人事制度を工夫したマネジメントシステムを持つことも、組織管理上、重要な要素にどんどんなっていく、と思う。

【よかったらクリックお願いします♪】
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキングranQ
企業家ブログhttp://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35