その時に、ほとんどのグループが課題に向けてディスカッションやまとめの作業に入り始めたが、あるグループの進捗状況を覗き込んでいたら、課題に対する議論がまるで進んでいない。
どうしたのかな?と思って暫く眺めていたら、「グループメンバー同士が初対面のために“意見出し”をけん制し合っている」「グループの議論のきっかけやまとめ作業を取り仕切るリーダー(座長)がいない」「そもそもグループワークに慣れていない」というような問題があるように感じた。
このままの流れで行くと、このグループだけが他のグループより課題作成が大幅に遅れてしまうことが想像できたので、受講生全体の作業をいったん止めて「ブレインストーミング」について「ミニ講義」をすることにした。
ブレインストーミングとは、1930年代にアレックス・F・オズボーンによって考案された「発想支援法」のひとつで、俗にブレストと呼ばれる。
多くの方がご存じだとは思うが、やり方のプロセスとしては、
1)アイディアの質より量を重視する
アイディア出しの段階では、質よりも量を重視し、当たり前の一般的なアイディアだけでなく、突拍子もない考え方やアイディアなど、ありとあらゆる提案を歓迎する
2)メンバーが挙げたアイディアの批評・批判をしない
多くのアイディアが出揃うまでは、各個人が挙げたアイディアに対して、批評・批判することは禁止する。
個々のアイディアの利点や欠点は、意見出しが終わった次の段階で行う。
(批評・批判がある場合は、各自メモを取っておく)
3)粗削りな考えを歓迎する
誰もが思いつきそうなアイディアよりも、奇抜な考え方や、突拍子もない斬新なアイディアを重視する。
ユニークな発想は、たいてい最初は荒唐無稽なもの扱いされる事が多く、そういった提案こそを重視する
4)アイディアを合体し発展させる
別々に出されたアイディアをくっつけたり、一部を変化させたりすることで、新たなアイディアを創出していく。
(このプロセスが、ブレインストーミングの最大の利点と言える)
つまり、個々の人間が持っている知見や知識は、非常に限られているが、複数の人が集まって提案することで、様々な知識が挙げられて、つながり、結合することで、これまでにない新しい発想や起こり得るリスク要因の列挙がしやすくなるのである。
もちろん、ブレインストーミングは「発想支援の一手法」なので、多種多様のアイディアを出すまでは有効であるが、「出されたアイディア(情報)の整理手法」や「その情報からの結論など意思決定」は、また別の手法(例:KJ法やMN法など)が必要になる。
話は変わるが、2008年11月1日放送の「土曜プレミアム(フジ系列で放映)」で8月に亡くなった漫画家の赤塚不二夫さんをテーマにした『これでいいのだ!!赤塚不二夫 伝説』という追悼のドラマをやっていた。
このドラマを見ていたら、赤塚さんの代表的なギャグ「シェー」やキャラクターの「うなぎ犬」「レレレのおじさん」などが、原理としては「ブレインストーミング」によって「発明されたんだなぁ」と気が付いた。
特に、フジオプロを設立してからは、『週刊少年サンデー』で「おそ松くん」、『りぼん』で「ひみつのアッコちゃん」などの連載が始まっていたので、計算上は「1日に1連載」のペースで執筆するという驚異的なペースになっていたのだ。
そうなると、毎日、次々とアイディアを創出していかねばならない。
ドラマでは、このあたりを、のちに漫画家として独立していった長谷邦夫、古谷三敏、横山孝雄、高井研一郎氏との自由闊達なブレストによりギャグやキャラクターが生まれた様子を描いていた。
おそらく、赤塚さん達的には「仕事をしている」というより「わいわいがやがや」意見を出し合うことで、「遊びの延長線上」から「気づきが気づきを生み、互いの能力も向上していった」という良循環サイクルになっていたのではないかと思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ97号より)
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