その10月号で私が「ISOを業務改善ツールとした視点でアプローチしたコンサルタント」の一人として紹介された対談企画(記事のタイトルは“ISOのコンサルタント不要論”)があった。
この10月号が発行されてあちこちから反響があったので、数回に分けてポイントを引用したい。今回はその4回目である。
(引用ここから)
~コンサルタントが語る「ISOのコンサルタント不要論」~
■ISOを使いこなしているのは5%程度
【インタビューアー】
企業がISOを活かしている事例は全体の何%でしょうか?
【有賀】
よく聞かれますが、正直、全体の5%あればよいかな、という程度だと思います。
【森田】
私も同じぐらい。事務局が表面上、頑張っているだけで、会社全体は変わっていない。延々と取得セレモニーをしているような気がします。
【有賀】
実際に企業で何を指針にしたら良いのかという羅針盤がなくなっているような気がします。企業は気が付くと指示したことだけを延々と繰り返すだけで新しい発想が生まれない。コンサルタントの先生や組織内の前例や習慣、上司の指示に従ってやるほうが簡単で楽なんですね。
そういう意味ではPDCAを繰り返しながらスパイラルアップしていくISOは企業の「軸」としては使える。「軸」とは企業の求めるターゲットや使命・目標、そしてそれらを遂行するための手段という企業の根本です。その軸が全く無かったりブレている企業にとってはISOは利用できる材料なのです。
軸を確立させて、業務を改善してムダを取ってから仕事の質を改善するのが企業の基本です。そのためには徹底してムダを取らないと駄目。例えば、マーケティング戦略は成功すればヒット商品が当たって売り上げが伸びるけれど、同時に仕事の質が向上していなければ次がなかなか続かない。だから私は企業のトップに野村野球的経営を推奨するわけで、そのためのひとつの材料としてのISOがあるわけです。
経営のひとつの教科書としてのISOであって、ISOの取得手法だけを教える気は全くありません。
あと、ISOが使える業界や地域はまだあるということ。例えば「建設業や金融業など官主導の歴史が長かった業界」や「顧客満足よりも利益重視の側面が強い企業」はISO思考が有効な経営ツールとして使用するのに便利だし、有効だと思います。
また、私は会社の拠点を札幌にしていますが、同じ製造業でも北海道と関東ではレベルが違う。トヨタが北海道に進出するために、現在、下請けの教育を必死で行っていると聞いています。そうした際にISOという共通の言語があれば教育にも便利でしょう。
【森田】
中小にとってISOが有効なのは入口から出口までのストーリーを作ることができる点です。多くの中小はワンマンがいて成長を支えてきた。指示系統すら明らかでなかったりする。私が組織活動を行う際に真っ先に聞くことは「あなたは誰の指示で仕事をしていますか?」です。それを一つずつ明らかにしていくと、矛盾点が浮かび上がる。
ISOの要求事項を強制力として使う場合もあります。本来ならば全員の同意を得て納得した上でやるべきなのでしょうが、そうなると莫大な時間か必要になるので、ISOの強制力は便利ですね。
先ほど有賀先生も仰いましたが、業務改善は、究極は考え方のこと。長年やっていけば企業の中に凝り固まった文化ができてしまう。それが柔軟な発想を阻害してしまうのです。
【有賀】
確かに企業は変わりにくいので、行動規範的なアプローチである5Sのように習慣化するまではISOの強制力は有効ですね。特に工場内でポケットに手をつっこんでいても平気な(安全や狭義の品質に対する意識が低い)海外の工場の現場ではISOは便利です。
(後略)
(引用ここまで)
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ95号より)
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