その保険会社の役員の方の経歴を拝見すると、ほとんどの例外なく20代後半からせいぜい31、32歳で支社長を経験している。
「役員になられるような方はお若い時から優秀なんですね~。」と私。
するとこの会社では、当時の職員の年齢と人員構成上、若い段階で支社長にせざるを得なかった事情もあったのだそうだ。
ただそこで頭角を現して役員になったような方は例外なく「支社長が朝一番に出社して、一番走り回って仕事をしていた」のだという。
つまり「支社長自ら先頭を切って行動で範を示して支社を統率し、人材を育成していた」ということなのだろう。
当時、他社で支社長と言えば「役員クラスで、その地域の名士。雰囲気としては威厳があって、支社内でもふんぞり返って部下に指示を出している」というのが相場だったらしいが、この会社では違った。
支社長だからと言って指示を出すだけでなく、自らも行動することで営業職のおばさん達の人心掌握をして成果もだし、どんどん重要なポストを経験して行ったというのだ。
「それが管理者としてのセンスを身につけることになり、うちのバイタリティの源泉だった。そんな、社風なんですよね。だから、うちなんか、大手と合従連衡したら、あっという間にそういう雰囲気はなくなってしまうでしょうね」とポツリと話されていた。
いくら頭脳明晰でも、経営や管理者理論を知っていても、そういった「経験で培われたセンス」がないと、なかなか現場で人を束ねることはできない。
営業マンなども「センス」が問われる商売だと思う。
マネジメントシステム的には、見積、契約の権限、トラブル発生時の報告ルートなど組織として確立したものがあることは大前提であるが、そこから先の「成果が出る人でない人の差」はセンスだと思う。
例えば、取引をする時「いい意味での持ちつ持たれつ」がある。
「製品自体の機能や良し悪し、価格などにあまり大差がない場合」は「前回これをしてもらったから、今回はこっちが相手の立場を酌んで身銭を切って貢献しよう」というようなセンスだ。
取引関係の中で自分(というか自分の所属している組織)の方が立場が上、と思っている時は、「自分のお願いごとや主張は何気に旺盛」であるが「相手の立場や心情はまるで理解せずに行動する」営業マンが案外多い。
いくら普段の人柄や言葉遣いがすぐれていても、こういった些細なセンスがないと、「この会社と組んで仕事をしよう」というモチベーションが上がらない。
まさにこういった「センス」は座学では身に付くものでなく、そういったセンスにたけた上司を見たり、自分で経験をして行動を振り返ることで身について行く。
突き詰めていくと、根底にある能力は、
「相手(部下や上司、取引先)の立場と状況を理解する能力」
「自らの行動を振り返り継続的に改善していく能力」
ということになるのだろう。
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