告発状では、
1)冬木社長は有害な物質が含まれた食品を販売してはならない食品衛生法の条項に違反している
2)太田農相は、農林水産省の監視態勢を構築する職責があるのに怠り、三笠フーズの違反行為を助長した
という点を指摘している。
告発状に加えて、記者会見で田中康夫氏は、「太田農相は傍観者的発言に終始している」「農水省は被害者である焼酎メーカーなどへの制度融資等の手だてを同時並行で行ったうえで公表すべきだ」と発言しているが、まさにそうだと思う。
事故米の流通先をいち早く公表して国民に安全を訴えかけるのはいいが、被害者の風評被害を含めた影響を考慮し、救済処置を他省庁や自治体と調整して公表しなければ、事故米で製造された製品以外の正常な製品にまで被害が及んでしまう。
また、太田農相は「事務所費問題」で一時は窮地に追い込まれたが福田首相の辞任と総裁選報道で、なんとなくうやむや感が出ているし、事故米偽装転売問題についても「俺が就任する前の出来事」と他人事感は否めない。
また、9月10日には、野田聖子消費者行政担当相が事故米の偽装転売問題について記者団に「風評被害を最小限に抑えるのは転売先業者の公表。農林水産省は(業者に)頭を下げて最大限の努力をすべきだ」と農水省の対応の遅れを批判し、「今までの食品問題と違い、汚染米を発出しているのは政府。被害に遭った方たちの手当(支給)も、国は責任を持って考えるべきだ」と述べたそうであるが、真っ当な意見である。
しかも、10日に開催された消費者安全情報総括官の初会合に野田消費者担当相は出席したが、事故米の偽装転売問題について三笠フーズや新たに発覚した愛知の2社(「浅井」と「太田産業」)については報告のみで、議論はなかったという。
この会合は、中国製冷凍ギョーザ中毒事件を受けて2月に創設された食品危害情報総括官を拡充し、内閣府、農水、厚労、経産、警察など1府6省1庁の局長級が兼務しているそうであるが、自分が所属する省庁に火の粉が飛んでこないように静かにしているのか知らないが、報告事項だけで議論がないとは、何の意味がある会合なのであろうか。
愛知の2社の事故米の目的外使用については、
・架空伝票を作り、二重帳簿で東海農政局の立ち合い調査での発覚を逃れてきた
・東海農政局は、他の農政局の調査が事前通告であるが抜き打ちで実施してきた
・支出や収入の記録となる通帳のデータ調査というを最も基礎的な調査で不正を検出した
(例:伝票上の取引先から入金がない)
などが判明している。
以前、食品偽装Gメンの方がテレビ取材で「私たちには強制捜査権限がないので不正らしいと分かっても証拠となる尻尾をつかんで白状させるしかない」と話していたのを聞いたことがあるが、そもそも「事故米という単なる産地偽装などではなく、人体に影響がある米を管理する行政官に強制捜査権を与えないで販売や流通を管理させる」こと自体が、そもそもこの事故米管理システムにおいて欠陥なのであろう。
三笠フーズの次に発覚した2社に対しては計42回の立ち入り調査を実施しているが、「伝票上の数字を追うだけで、取引先の入金状況」までは見ていなかったとと農政官の一人は打ち明けているそうであるが、このことはまさに「現状の事故米管理システムに欠陥や限界があり改善すべき点があった。しかし農水省はそれを放置していた」と言わざるをえないであろう。
新党日本田中代表の告発状に対して、東京地検はまだ正式に受理していないという。
この事故米偽装転売の再発防止に限らず、農水省の現状の管理システムの不備や改善の必要性があるその他のシステムの見直しには、「検察の捜査」という荒療治が必要なのかもしれない。
また現在は、自民党総裁選報道一色で「新しい看板に付け替えることで何かが変わる感」、「雰囲気に踊らされている感」あるが、我々国民はこういった各省庁の制度疲労を、しがらみに囚われることなくズバズバと改革できる政権を択ぶ眼を常日頃から養い、ムードに流されない選択をする必要があるのだろう。
【よかったらクリックお願いします♪】↓

ブログランキングranQ
企業家ブログ→http://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35