病院機能評価制度で認定されたある病院を訪問した時のこと。
その病院の院内広報誌を見ていたら「病院が選ばれる3つの要因」と題したコラムのような記事があった。

その記事によると、選ばれる3つの要因は、
1)職員の業務環境の質
2)顧客の体験の質
3)実際の医療業務の質
の各質を高めることであり、

そして「質を高める」ためには、
「病院のグレードをどのレベルに設定するか」
「自分以外の人に対して敬意を払う風土を組織に定着させること」
と述べられていた。

この記事を読んでいて、「さすが、病院機能評価の認定を取得する病院は違うな」と感じた。「病院が顧客(患者さん)に選ばれ続ける」には「病院のグレードをどのレベルに設定するか」が重要である。
これを設定しないと上記の「3つの質」をどういった内容で高めていけばいいのか不明確になってしまう。
つまり「病院自身が自分目線で一生懸命やっているつもり」でも「顧客のニーズ」とマッチしなければ、「選ばれ続ける質の向上」は全く無意味なものになってしまう。

自分目線にならないためには、月並みであるが「顧客の要求事項」を客観的に的確に捉える事が重要だ。
例えば、外来の患者さんに「もしあなたが入院するなら、この病院にしますか?」と率直にアンケートをしてみたとする。
すると、ある病院では、100人の患者のうちで「いえ、他の病院に行く可能性があります」と答えた人が半数になったとします。
この結果からは、「外来にはくるけれど入院はしたくない」と思っている人が多いという結果になるわけです。

しかし、ここで「顧客の要求事項」つまりニーズを客観的に捉えないと、解決策を感覚的に、「じゃあ、病院を改装してきれいにすれば入院したくなるだろう」という考えになってしまうかもしれません。
「客観的に的確に捉える」には、患者さんに対して「入院するとしたら何を基準にしますか?」というデータが必要になる。
実際にデータを取ってみると、
「自宅や職場に一番近いから」   
「医師や看護師が親切」   
「名医・専門医がいる」   
「交通手段が便利」   
「施設や医療設備が充実している」
「近所の医師に紹介されたから」
・・・・・
という風に様子がわかり、実は「施設がいい」という理由が低ければ、「病院が質を高めようと一生懸命やろうとしていること」と「患者さんのニーズ」にはずれが生じている、ということがわかる。

実際、病院職員にインタビューすると、職員一人ひとりがこの病院が患者さんに選ばれる大きな要因と病院が目指すべき方向を認識している。
「どうやってそういった認識や思考を持つ職員にしていったのか」を聞いて行くと、
a) 徹底した顧客重視に基づく職員の評価
b)「顧客重視」と「継続的な改善」に関する徹底した内部コミュニケーションの充実
につきるようだった。
この病院を訪問して感じたのは、幹部が「プロセスを問わない売上や利益」しか見ていない組織は、上記のような体質がなかなか醸成されず、「選ばれ続けるために必要なことができなくなる」んだな、と実感したのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ88号より)

【よかったらクリックお願いします♪】
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキングranQ
企業家ブログhttp://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35