「仕事ぶりが良いのか悪いのか」「仕事の質を改善するする必要があるのかどうか」・・・、つまり「仕事の方法論が仕事の結果に対して有効的でかつ効果的かどうか」をチェックするためには「業務プロセスを監視し、評価すること」が重要なことはこのブログでも何度か触れている。

整理すると、業務プロセスを監視し、評価するためには、
1)プロセスの定義を決めて、責任を明確にする
2)プロセスを運営するために必要な資源を明確にする
3)プロセスの有効性及び効率を測定する方法を決める
4)プロセスの有効性及び効率を評価する指標を決める
ことを計画していくことが必要なわけだ。

しかし、「仕事の目的や顧客満足度を無視した指標の設定」をしてしまうと「指標を上げることだけが目的化」してとんでもないことになる。
たとえば、検察や警察が「検挙率」を上げたければ「検察や警察が認知する犯罪の数を減らして確実に検挙できる犯罪のみを扱う」ことをすれば検挙率は上がる。

プロ野球の投手のタイトル(パリーグ)に「最高勝率」というものがあった。
勝率とは、「勝った割合」のことを指し、「勝ち数÷(勝ち数+負け数)」で算出する。
たとえば、「10勝0敗」であれば勝率10.0、「10勝5敗」であれば勝率0.67となる。
つまり「勝率」は「投手成績の良し悪しを計る指標」なのだ。
しかし、「勝率」だけにこだわって数値だけを上げるのであれば、「勝つ試合だけ投げればいい」。
つまりは、「弱い相手」や「相手チームでエースが投げない試合」ばかりに登板すればよいのだ。

しかし、「検挙率」にしても「勝率」にしてもそうやって「数値だけが上げる」ことが「プロセスが有効かつ効率かの指標」になっているかというと、明らかに違う。
つまり、「数値だけがひとり歩き」していると「プロセスの良し悪し」について間違った評価をしてしまう可能性があるから注意が必要だ。

最近のニュースで例を挙げれば「社会保険事務所の厚生年金の収納率」がある。
2008年5月19日の毎日新聞によると、元社会保険事務所課長が民主党の会合で、「収納率を上げるため、給与水準(標準報酬月額)を最低ラインまで下げるよう、社保事務所が企業に指導していた」、つまり、「社会保険事務所が違法行為にかかわっていたこと」を証言したことが報道されていた。

つまり、厚生労働省は「厚生年金の収納率」を「プロセスが有効かつ効率かどうかの指標」として評価していたわけだ。
しかし、「収納率」という数字のみを上げるために、
1)社長や社員の標準報酬月額をさかのぼって最低水準に訂正する
2)虚偽の厚生年金の脱退届を出させ、業務継続を黙認する
などの指導をしていた訳だ。

しかし、年金制度の目的を考えれば上記は、違法行為であるばかりでなく、厚生年金の被保険者が不利益を被る指導による結果としての「収納率向上」である。
つまりプロセスを評価する指標だけに囚われると「仕事の目的に対して適切か否か」という観点が無視されて数字だけがひとり歩きする。

「プロセスが有効的かつ効率かどうか」を評価する指標を設定する際、または評価する際には「仕事の目的に対して適切な指標となっているか?」「指標として計画した数値のみに囚われて誤った評価をしてはいないか?」という観点に注意していないと、「不適切なプロセスの監視、評価」をしてしまうことになるのである。

【よかったらクリックお願いします♪】
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキングranQ
企業家ブログhttp://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35