2008年8月1日に生命保険10社が金融庁に業務改善計画を提出し、大手4社のトップは記者会見で再発防止を約束した。
業務改善計画の発端は、2005年2月に明治安田生命に対する金融庁検査で保険金を不当に支払わない事例が多いことがわかったからだ。
その後、各社のチェックにより生命保険業界全体では不払いは総額973億円に上っていた。

なぜ「不当に支払わない事例が多い」のかといえば、
・保険はそもそも契約者が請求しない限り支払われない仕組みである
・特約事項など付帯条件が多く、本来支払われるべき保険金に契約者が気づかなかった
・保険会社は、支払いされるケースに気づかない状況を、あまりにも当然の如く放置した
・保険契約優先で、支払いが困難に成り得るケースでも契約させていた
(例:営業職員が病歴を告知しないよう勧めて契約させ、支払い段階で保険契約者の告知義務違反を理由に支払いを拒否するケースなど)
などが理由といわれる。

不払い問題を受け、各社は再発防止に取り組んでいるが、顧客や現場からは、まだまだ「業務改善は道半ば」「形だけの改善」という声も多い。
たとえば、「各社が実施している契約者に対する契約内容を確認する訪問計画」であるが、
・形式上、契約内容を確認するのみ
・わざわざ保険会社の営業所に足を運んでも更新契約を勧められるだけ
というケースも多いという。
つまり、顧客(保険契約者)は、契約時とのライフスタイルの変化などから、契約内容の見直しを含めて相談したいニーズがある。
しかし、新規契約獲得が優先されている根本体質があるから、営業職員がそういうニーズに応えられるように教育されていない。
したがって、余計に不信感を募らせる結果になる。

不払い問題について、
1)契約者にも営業職員にもわかりやすい契約内容の簡素化
2)情報システムの強化により支払いミスによる結果としての不払いの防止
を柱に掲げてその関連業務について改善活動を実施している生命保険会社は多い。
しかし、生命保険会社とお付き合いしているとこれらは「とりあえずの処置」だし、改善の「小手先論」に過ぎないと実感する。

青臭い表現も入ってしまうが、基本的には、
a)顧客満足(真っ当な顧客に対する)の追求
b)売上額、新規契約数優先の営業体質からの脱却
c)売上や契約数に連動する人事評価や給与制度の見直し
d)コンプライアンス(法順守だけでなく企業の社会からの要請、存在価値)の真の理解と徹底
がすべてではないかと思う。
しかし、上記a)~d)の改善には着手せずに、放置したままの会社も少なくない。
これらの改善に手をつけていない会社は「なぜ手がつけられないのか」の原因を明確にし、その解決を図らなければ、根本的な生命保険会社の体質や気質、マネジメントシステムの改善がなされることはないだろう。

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