世の中が高度経済成長していたころは、需要が盛んなため作れば売れるので、製品やサービスを提供する企業側の立場で製品やサービスを生みだし、市場に出していけばよかった。
しかし、現在のような安定成長経済の世の中においては、顧客は真に要求している必要性の高いものだけを購入するので、顧客第一の考え方を企業内で徹底し、製品やサービスを使い、利用する側の立場で要求やニーズ、期待を満たした製品やサービスを生み出していかなければならない。
つまり企業は顧客重視、顧客指向であれ、ということになる。

顧客重視を単純に言えば、「常に顧客の立場に立って考える」ということである。
顧客重視を企業が徹するためには、
1)企業が積極的に顧客情報を収集するシステムを確立し、顧客の要求やニーズ、期待など顧客満足度を徹底して分析し、製品やサービスの改善や新商品企画に反映させる
2)顧客目線に立って、製品やサービスの使われ方や使われる環境、背景を理解する
3)製品やサービスの企画、開発、試作段階で起こりえるトラブルを予測し未然防止を図る
4)企画、開発、試作、生産、販売提供の各プロセスで発生したトラブルやクレームなど問題を再発防止し、常にシステムが改善できる品質保証体制を確立する
5)製品やサービス提供後の体制を確立し、アフターサービスを充実する
などが重要となる。

顧客重視の事例として「機能がシンプルな携帯電話」がある。
携帯電話はここ10年で機能もデザインも格段に進化した。
しかしその一方で付加されている機能をすべて使いこなしている人はどれぐらいいるだろうか。
顧客の要求やニーズ、期待を携帯電話に取り入れていくと、顧客が要求する機能の公倍数が携帯電話に満載されてしまう。ハイテク製品はプログラムや基盤に余裕さえあればさまざまな機能を付け加えることはたやすい。
しかし、殆どの顧客からすればそれが逆に「使いづらい」、「説明書を読むのが面倒くさい」になる。

そうなると、大多数の顧客にとっては機能がてんこもりに満載された携帯電話は無用の長物になっている。
実際、私の携帯にもテレビ電話や音楽再生機能がついているらしいが、一度も使ったことがない。
高齢者がユーザーであるならばならなおさら、不要な機能ばかりなのだろう。
その結果、操作ボタンが極めて少ない「通話機能と最小限のメール機能」だけの「シンプルな携帯電話」が単純な操作性を望む顧客層にバカ売れしている。

上記の話は、顧客目線でものを考えることによって顧客に支持された例である。
つまり、顧客を層別し、どの顧客がどのような状況下で携帯電話を利用するのか分析できれば顧客に支持されるが、そのような意識が欠如すると顧客目線でものづくりをしているつもりが、気がついたら製品を提供する企業側の目線でものづくりをしてしまっているのである。

多くの企業の現実の企画、開発、販売部門では「いろいろ作ってみて売れた商品が良い商品」、「他社がやって売れればうちもやるか」という顧客重視をもとにした製品づくりはしていないケースが多い。
無理に売り込まなくても売れていく「売れる仕組み」、つまりマーケットインの考えをもとにした顧客重視体質の認識と意識を持った組織に変わっていくことが大事なのである。
(「不祥事」を止めるISO思考 光文社刊 より引用)
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ77号より)

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