記事によると、
1)最近「カラオケ行っていますか?」と周りに聞いてもあんまり行かなくなったとの答えが多い
2)カラオケ経営情報誌『季刊カラオケエンターテインメント』が首都圏在住の20~30代の男女600人に行った調査では「4~5年前と比べてカラオケに行かなくなった男性」はなんと約53%
3)『レジャー白書2007年版』によると「2006年のカラオケボックスの売上高」は4360億円と1996年のピーク時から34%も減少している
という「カラオケ人気が下降線ではないか?」という仮説がまず挙げられていた。
次に、上記の理由として
a)90年代半ばからの個人消費の落ち込みの影響(遊興費は家計で最初に削られる)
b)携帯電話やネットの普及などで、カラオケが友人とのコミュニケーションツールとしての魅力が低下した
c)ミリオンヒットの楽曲が減ったこと
(上記a)~c)は、全国カラオケ事業者協会専務理事の片岡史朗氏の分析)
d)20代後半は社会に出て仕事が忙しくなる時期。自由時間が多かった学生時代などに比べてカラオケに行く機会が減るのは仕方のない
(上記d)は『カラオケエンターテインメント』の金江編集長の分析)
という関係者の分析結果を紹介していた。
個人的には、おそらく「カラオケ人気は下降線」という傾向も「カラオケ人気が下降線になった理由」の原因も、このR25のコラムに書いてあることが概ね当たっている、と思う。
ただ、「事実を捉える上の根拠はどうなんだろう?」という気がした。
まずは、「カラオケ人気が下降線」という仮説である。
仮説の根拠は、上記1)~3)であるが、1)と2)は「最近カラオケに行っているか?」という質問だけで、回答も回答者の感覚的な答えだ。
この調査方法では、「年間のカラオケ利用回数」「カラオケ利用時間」「カラオケ利用用途」などをちゃんと調査したのだろうか?と思う。
また、3)では2006年と1996年の「カラオケボックスの売上金額」の減少を論拠にしているが、
・カラオケ利用率の中でカラオケボックスの占める割合
・時間あたりの料金単価はの2006年と1996年の差異
が明確でなければ、単純に「売り上げ減少⇒人気下降」とはいえない。
なぜなら、カラオケボックス以外でのカラオケ利用は増えているかもしれないし、熾烈な価格競争で料金単価が下がっただけで、利用時間や利用回数はむしろ増えているかもしれない。
次に「カラオケ人気が下降線」という根拠に対する原因分析であるが、
c)の「ミリオンヒットの減少」は、「曲作りのコンセプトがカラオケで難しい歌を歌って競い合うような曲」から「共感を生む歌」「聴いていて癒される歌」作りにシフトしたことによる「みんな」から「個人の趣向」へと「聴く歌が多様化」したことにより「ミリオンヒットが減少」したのであって「カラオケ人気が下降線になった結果」として生じた減少と考えるほうが妥当である。
また、d)の「20代後半は仕事が忙しい時期」は1996年より2006年のカラオケボックスの売り上げが落ちた特異性を表すものではなく、いつの時代も「20代後半は忙しい」わけであり、これも「カラオケ人気が下降線」の理由として妥当性を欠く。
冷静にものを考える人であれば、このコラムで書かれている根拠は??と思うだろう。
しかし、忙しくて、ななめ読みでコラムを読む人やコラムを読んだ人から伝聞で聞く人は、概ね結論しか情報として頭に残らない。
だから、「実際のところどうなの?」「本当に真実なの?」ということはいちいち検証していない。
ただ、ちょっと筋道を立ててものを見たり考えたりすれば「えー!?そうと言えるのかなぁ?」という眼を持つ力が身についていく事ができる。
そういう習慣を付けていかなければ、「感覚でものを捉えたり」「メディアなど活字等媒体になったものをそのまま信じる」ことになってしまうのである。
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