Jリーグらこの処分を下した当時は「静脈注射(点滴によるにんにく注射)」がドーピングにあたるか否か、つまり正当な治療行為か否かが問題の焦点となっていた気がする。
しかし、CASが発表した裁定文書では、「我那覇選手に対する静脈注射は正当な医療行為」という判断もしているが、それ以前に、
1)Jリーグは、制裁に関する規定を採用していない
2)Jリーグは、医師や選手が「何が正当な医療行為なのか」を判断する情報提供が不足していた
3)(したがって)我那覇選手には、治療が正当か否かを判断する能力がない
といった点より「Jリーグの処分は無効」という判断のようなのだ。
つまり、今回のCAS裁定では「ドーピングの事実があったかどうか」の判断はされず、「禁止規定や制裁のルールをJリーグが明確に規定していないのに処分を科すのは不当だ」という結論なのだ。
このことよりCASとJリーグと認識の違いが分かる。
違いとは、Jリーグは制裁に対する「実態尊重」、CASは「ルール尊重」なのだ。
Jリーグは当時、「世界反ドーピング機関(WADA)のルールに準拠」して処分の可否を判断していた。
つまり、Jリーグとして明確な「薬物禁止規定」や「違反した場合の制裁規定」を規定せずとも、WADAのルールに準拠させ、照らし合わせて「クロ」ならば罰するという方針だったのだろう。
しかし、CASは、Jリーグがそうだと考えるのであるならば「それら一連のルールの明確化(文書化)と関係者への周知徹底」が必要だったはず、と判断しているのだ。
Jリーグはこの「認識の違い」をよく理解していないと、今回の問題から得られる教訓は半減してしまう。
「俺がルールブック」という前提には「ルールの明確な文書化と周知徹底」が国際的な常識としては必須である事を認識していなければならないのだろう。
ちなみに、CASに仲裁を求めた日本人選手は、我那覇選手が2例目で、1例目はシドニー五輪予選で、参加A標準記録を突破しながら代表落ちした千葉すず選手である。
この時の日本水泳連盟の落選理由は「標準記録を突破したといっても世界では戦えない」という曖昧なものだった。
だったら「なんのための参加A標準なのだ」と思う。
当時は、この曖昧な水連の決定に「アテネ五輪直前に、千葉選手が他の選手に与えた影響に対する制裁ではないか」という巷(ちまた)の説が飛んでいた。
千葉選手はアテネ五輪で「五輪を楽しむ」ことを、先頭をきって他の選手に勧めた。
この千葉選手の「ススメ」の賛否はともかく、水連はこの行為に激怒した。
しかし、水連はこの行為に対する制裁をシドニー五輪の選考で「代表落ち」という結末でペナルティを科したといわれている。
これらのことから、水連にしても、Jリーグにしても「明確か否かは抜きにして、主管団体が決めたことには従ってもらう」という選手に対しては服従させるという思想があるのだろう。
しかし、「明確なルールがないの決定や処分等を行なうこと」は、国際的に認められないものであることを認識して活動しなければ、またどこかで似たようなスポーツ選手に対する問題は発生するだろう。
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