コラム
を書いた。
当時の日経新聞で「法科大学院全74校の入学者総数は5784人で前年度比4.3%増だが、社会人の入学は1925人で、同7.9%減った。今年度から始まる新司法試験の合格率が当初の見通しより低くなったことが、社会人の法曹への転身意欲に影を落とした可能性がある」と言う報道と見解が示されたので、私なりの意見を書いたのだ。
その時の私が触れた意見などポイントを羅列すると、
・今後、規制と調整型社会ではなく、事後チェック・救済型の社会に変化する
・そのため現状のままでは、裁判官・弁護士・検察官の数が圧倒的に不足する
・新司法制度は「多様なバックグラウンドを持つ法曹の養成」が期待されている
・次の理由で社会人の法科大学院への入学は多くならない
1)「法科大学院での学費が高額」
2)「新制度だからといって合格率が驚異的に上がるかどうかも不確実な仕組み」
3)「司法試験合格後の処遇が恐らく現役組より不利」
(特に検事や裁判官になる場合の人事制度)
・社会人の法曹界への転身を促すには、以下の施策が必要
1)ある条件をクリアした社会人受験者は法科大学院合格時点で法科大学院を一定以上の成績で修了した場合、司法試験の合格枠を別に設ける
2)法科大学院のカリキュラムに「社会人経験者の法科大学院生向けのカリキュラム」を用意する
3)社会人合格者について司法修習修了後、検事や裁判官になる場合は生え抜きと同等以上の人事制度を確立する
ということだった。
あれから2年経過してみると、2008年5月19日の毎日新聞の報道では、
・昨秋実施した法科大学院の今年度入試の志願者数と倍率が過去最低
・志願者は前年度比5652人減の3万9555人で、倍率は6.8倍(前年度7.8倍)
・入学者全体に社会人経験者が占める率も29.8%(前年度比2.3ポイント減)
(上記数字は2004年度の制度導入以来最低)
・文科省専門教育課は上記結果を以下のように分析した
1)「新司法試験の合格率の低さが影響しているのではないか」
2)「特に社会人は、仕事を辞めて進学することに不安を持っていることがうかがえる」
・定員割れの法科大学院も目立つ
(充足率が80%未満の大学院は全74校中16校(私立15校、国立1校)で、2007年度の6校(すべて私立)より10校増える)
・2007年度に修了認定を受けたのは4548人で、入学者5673人の80.2%
・内訳は2005年度入学の3年コース(法学未修者)の認定率は73.2%、2006年度入学の2年コース(法学既修者)は91.5%
という結果だったそうだ。
このように現状を眺めてみると、2年前に想像した事がさらに進展していると思う。
「司法試験合格対策のみに何年も費やし、社会性が欠如気味の法曹人を減らす」
「実践に即した専門的な知識習得のための教育カリキュラムが必要」
「多様なバックグラウンドを持つ法曹人が社会には必要」
というような背景が新司法制度にはあったはずだ。
しかし現状の制度では「社会経験を有する優秀な人材が転身するにはリスクが高い」のだ。
また、このような入学者が減る状況下の中で法科大学院側も「司法試験合格率」を上げなければ学校としての生き残りが出来ない。
そこでどうして「受験対策」に走った教育をしてしまう。
(例:愛知大学法科大学院は、法科大学院の認証評価機関「日弁連法務研究財団」の審査で「新司法試験対策に著しく偏った教育カリキュラムで不適合を出されている)
2年前のブログにも書いたが、ポイントは「社会経験を有する人材の法曹界への進出を促すためのプロセスの見直し」が重要だと思う。
知識を主体とする試験や人事制度などを現役と同じ土俵で考えると、本来、新司法制度が目指した目的は今後さらに有効に機能しなくなるだろう。
いまこそ原点に返り「どのような法曹人が今後必要なのか」、「そのために現行制度のどのプロセスが有効的でないのか」を議論・検討し、改善する必要がある。
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2006年5月17日の本ブログで「新司法制度は多様なバックグラウンドを有する法曹界作りになるのか」と題した当時の日経新聞で「法科大学院全74校の入学者総数は5784人で前年度比4.3%増だが、社会人の入学は1925人で、同7.9%減った。今年度から始まる新司法試験の合格率が当初の見通しより低くなったことが、社会人の法曹への転身意欲に影を落とした可能性がある」と言う報道と見解が示されたので、私なりの意見を書いたのだ。
その時の私が触れた意見などポイントを羅列すると、
・今後、規制と調整型社会ではなく、事後チェック・救済型の社会に変化する
・そのため現状のままでは、裁判官・弁護士・検察官の数が圧倒的に不足する
・新司法制度は「多様なバックグラウンドを持つ法曹の養成」が期待されている
・次の理由で社会人の法科大学院への入学は多くならない
1)「法科大学院での学費が高額」
2)「新制度だからといって合格率が驚異的に上がるかどうかも不確実な仕組み」
3)「司法試験合格後の処遇が恐らく現役組より不利」
(特に検事や裁判官になる場合の人事制度)
・社会人の法曹界への転身を促すには、以下の施策が必要
1)ある条件をクリアした社会人受験者は法科大学院合格時点で法科大学院を一定以上の成績で修了した場合、司法試験の合格枠を別に設ける
2)法科大学院のカリキュラムに「社会人経験者の法科大学院生向けのカリキュラム」を用意する
3)社会人合格者について司法修習修了後、検事や裁判官になる場合は生え抜きと同等以上の人事制度を確立する
ということだった。
あれから2年経過してみると、2008年5月19日の毎日新聞の報道では、
・昨秋実施した法科大学院の今年度入試の志願者数と倍率が過去最低
・志願者は前年度比5652人減の3万9555人で、倍率は6.8倍(前年度7.8倍)
・入学者全体に社会人経験者が占める率も29.8%(前年度比2.3ポイント減)
(上記数字は2004年度の制度導入以来最低)
・文科省専門教育課は上記結果を以下のように分析した
1)「新司法試験の合格率の低さが影響しているのではないか」
2)「特に社会人は、仕事を辞めて進学することに不安を持っていることがうかがえる」
・定員割れの法科大学院も目立つ
(充足率が80%未満の大学院は全74校中16校(私立15校、国立1校)で、2007年度の6校(すべて私立)より10校増える)
・2007年度に修了認定を受けたのは4548人で、入学者5673人の80.2%
・内訳は2005年度入学の3年コース(法学未修者)の認定率は73.2%、2006年度入学の2年コース(法学既修者)は91.5%
という結果だったそうだ。
このように現状を眺めてみると、2年前に想像した事がさらに進展していると思う。
「司法試験合格対策のみに何年も費やし、社会性が欠如気味の法曹人を減らす」
「実践に即した専門的な知識習得のための教育カリキュラムが必要」
「多様なバックグラウンドを持つ法曹人が社会には必要」
というような背景が新司法制度にはあったはずだ。
しかし現状の制度では「社会経験を有する優秀な人材が転身するにはリスクが高い」のだ。
また、このような入学者が減る状況下の中で法科大学院側も「司法試験合格率」を上げなければ学校としての生き残りが出来ない。
そこでどうして「受験対策」に走った教育をしてしまう。
(例:愛知大学法科大学院は、法科大学院の認証評価機関「日弁連法務研究財団」の審査で「新司法試験対策に著しく偏った教育カリキュラムで不適合を出されている)
2年前のブログにも書いたが、ポイントは「社会経験を有する人材の法曹界への進出を促すためのプロセスの見直し」が重要だと思う。
知識を主体とする試験や人事制度などを現役と同じ土俵で考えると、本来、新司法制度が目指した目的は今後さらに有効に機能しなくなるだろう。
いまこそ原点に返り「どのような法曹人が今後必要なのか」、「そのために現行制度のどのプロセスが有効的でないのか」を議論・検討し、改善する必要がある。
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