-顧客や消費者、利害関係者の有効な選択基準に成り得なければ意味がない-
「ISO認証の将来像」を予測すると、「認証導入・維持企業は特定された組織層のみの1極化が進む」だろう。
その理由は、ISO認証が顧客や消費者、利害関係者、社会の中で「信頼性の証」として本質的に機能していないからだ。
つまり、現状のISO認証は、顧客や消費者が製品やサービス、組織自体を選択する上で精度の高い適切な指針となっていない。「利害関係者に対する適切な信頼性の証」となっていなければ、「業務改善や人材育成など内部向けの副次的効果のための必要経費」として認証コストを負担できる組織以外は、わざわざ認証コストは掛けない。つまり「ISOマネジメントシステムは採用してもISO認証は目指さない」という選択を志向していくことになるのは当然だろう。

-論理的か感覚的か-
また「認証導入・維持企業の1極化」が伸展する背景には、経営の考え方が「データに基づく意思決定か経験主義か」「論理的思考ができるか感覚的思考でものごとを捉えるのか」「組織として認証という鎧(よろい)が必要か必要ないか」などの違いもある。
つまり、組織において「顧客重視」「継続的改善」という大前提を踏まえて経営をする場合、「説明責任」「事業戦略」「人材育成」などを向上させるにあたり「データに基づき、合理的な運営や経営判断をするのが企業」と考える組織のみが「認証の導入・維持」をすることになる。
したがって、逆に言えば「経験主義や感覚主義的であり、またその方が、経営が効率的である」「従業員は指示に基づき動けばよく、論理的にものごとを捉える重要性は感じない」と考える組織は「ISO認証から撤退」していくだろう。

ISO認証から離れていく組織は、現状「顧客の要求事項」や「発注者や公的機関が認証企業にインセンティブを与えてくれる」という自発的でない外圧、あるいは、「認証すれば世間から評価される」「ISO導入で会社を変える事が出来る」という「認証さえ取得すれば明るい未来がやってくる」と単純に信じ、願ってISO認証に取り組んできた。
しかし、
a)ISO規格が目指す組織像がその組織に理解できない、あるいは、合わない
b)認証自体にインセンティブなどメリットがない、または薄くなってきた
c)結果系でみると導入効果が薄い
(例:受注量や売上高、顧客満足度など)
などが「ISO認証から撤退」する理由だろう。
(後編につづく)

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