「従業員の創意工夫・提案を活発にする社風を醸成するにはどうすればよいのでしょうか?」
この質問は仕事の中でたびたびされるものである。
そんな時には「従業員の日常的な創意工夫・提案が当たり前になる社風を作ろうとしているのは立派ですよ。それが大事だと分かっていても、従業員の能力上の問題もあり、そういったスキルを身に付けさせるための教育をしていると、日常の仕事の効率が落ちるし、勉強に掛けた手間暇だけの成果が見られない。だから、創意工夫・提案する人材作りより、“上が指示した事をやればいい”と考えている会社が多いですから。もちろん、その会社が置かれている“現実”を踏まえての優先順位があるから、そういう姿勢の経営者を必ずしも責めているわけではないですが。」とまず答えている。

このように話すと「げっ」という表情をして「やはり、仕事の効率は落ちるんですね」とか「うちには無理だな」という言動や顔色になる人が多い。
しかし、中には「長い目で見たら、そういう社内体制にしなければ会社の体力は向上しない。だから何とかしたいんです」という熱意のある経営者や経営幹部もいる。
そのような「熱意のある方」に出会った時は、嬉しいし、なんとかそうなれるようにお手伝いしたいと思う。

先日、ある雑誌のコラムを見ていたら経営コンサルタントとして高名な柴田昌治氏(※)が冒頭の質問に対する重要な4つの条件を分かりやすく書いていたので、ポイントを引用させていただく。
※大ベストセラー「なぜ会社は変われないのか」日本経済新聞社刊の著者

柴田氏によると、
第一条件は「経営軸の転換」
これは「儲けの仕組み」という供給者側の論理から「お客様の役に立つ事業」という顧客志向論理への転換を意味している。
そのためには「顧客思考の経営とは何か」「自分達の仕事にとって顧客志向とは何か」について社内で議論を深め、従業員が共通認識を持つようにしなければならない。
またそのためには「モチベーションを高める環境づくり」が重要である。

第二条件は「チームワーク」
これは従業員が各自の守備範囲を補い合って2倍、3倍の力を発揮するようになること。
そのためには「みんなは何を求めているのか」「自分はどうすればみんなの役に立てるのか」の論議を社内で高め、連帯感と経営者に対する信頼感を育む環境づくりが重要である。

第三条件は「経営者の言動一致」
これは「信念のぶれない経営姿勢」である。信念と熱意は自然と従業員に伝わり、「この経営者のためなら」との心意気が従業員の間に沸いてくる。
この心意気は、連帯感と信頼感を育み、困難に挑戦する勇気を生み出す。

第四条件は「権限委譲」
これは「可能な限り従業員に権限を委譲し、従業員の裁量の幅を広げること」である。
それにより従業員は責任感を持ち、自発的に行動し、経営者と同じ目線で業務遂行を考えるようになる。
これが、「業務の無理、無駄の排除」を促進し、業務(改善や)改革、新事業開発の芽も育む。
(柴田氏のコラムのポイントの引用ここまで)

上記の「4つの条件」を振り返ってみると
1)「方針、目標、やり方のすべてを組織が決める」
→「具体的にどうするかは現場が決める」
2)「経営者や幹部が決めた事をいわれたとおりやればいい」
→「経営者や幹部は展望や方向性を示す」「議論を戦わせ、サポートする」「待つ・励ます・期待する・部下を守る」
3)「従業員はやらされる、指示を単に待つ、してもらう」
 →「考え抜く」「相談する」「人の話を聞く」「まずは行動してみる」
という『変革』が求められており、それが会社を強くする。
まさにこのことは「日本型経営の原点」である「人は石垣、人は城、人は堀」=「人の力」
といえるのだろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ72号より)

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