「温故知新」
「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」と読む受験問題にも頻繁に出て来そうなポピュラーな4文字熟語のことわざだ。
意味は「過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと」である。

2008年5月12日のテレビ朝日系列で放送している報道ステーションでスポーツ解説の松岡修造さんが『モントリオール五輪女子バレー監督を務めた故山田重雄監督』を特集で取り上げていた。
これが、まさに「過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらく」ヒントになるような気がした。

特集で取り上げられた内容やその当時の状況を整理すると、
・1964年の東京五輪で女子バレーは優勝し「東洋の魔女」と呼ばれた
・東京五輪で監督を務めた大松監督はスパルタ式
・1968年のメキシコ五輪、1972年のミュンヘン五輪ではソ連に敗れ連続銀メダル
・1976年のモントリオール五輪では決勝でソ連を倒し優勝
・モントリオール五輪では大会史上初の全試合で失セットゼロの完全勝利
・山田監督は相手チームのデータに基づく理詰めの戦略、創意工夫された練習方法
・モントリオール五輪のチームコンセプトは「守りの粘り、攻撃の速さ」
・「速攻」の変化バージョン「ひかり攻撃」を考案
(ダミーのアタッカーを飛ばし、セッターから約6m先のアタッカーにトスを上げてスパイク)
・100項目にも及ぶ体力チェックを実施し、潜在能力的な適性に応じた選手のポジショニングを採用
(例:セッター経験なしでセッターに起用された松田紀子選手)
・全日本チームに「データ解析チーム」を設置
・データ解析チームは、すべての場面の攻撃パターンをメモし、徹夜で解析
(コンピューターが普及していない当時はもちろん手書きでデータ収集)
・当時、女子ではあまり例がないランニング、筋肉トレーニングに特に力を注ぐ
・データ解析チームが分析した情報を基に、控え選手や男子選手を相手チームの選手になりきったダミー選手に仕立て想定試合を実施
・厳しい練習が楽しくなるようなアイディア練習を実施
(例:狙った位置にボールを目標数値分レシーブできたら練習終了 など)
などだ。

色々と箇条書きで並べてみたが、ここから言えることは
『徹底したデータ分析に基づくチーム作り』
『選手のモチベーションを上げる練習方法』
『新たな攻撃方法の開発』
である。

相手チーム(ソ連)の攻撃パターン、選手や監督のクセ(ソ連監督の好きな色まで調査したという)の情報を収集し、数値化して分析したから、全日本チームはモントリール五輪の決勝当日、それまでの重苦しい気持ちが晴れて「やったぁ、データどおり」という姿勢で試合に挑めたそうだ。
当時の米田コーチによると「日本の守備や攻撃は工夫が詰まっているがリスクだらけ。寸分のずれが生じるとアウト。だから徹底した練習で精度を上げるしかなかった」というようなことを取材の中で言われていた。

「他人と同じ事をやっていては勝てない」とはよく言われるセリフであるが、その後の日本の歩んできた道は、練習方法も、攻撃パターンも「日本を研究し成功した欧米諸国の焼き直し」が主体だ。
山田監督の足跡を振り返ると「データを基に攻撃も選手起用も練習方法」も「やるべきことの徹底」と「やる気を出させ持続させるための独自の創意工夫」の塊だ。
「選手」を「職員」、「全日本チーム」を「組織(会社)」に置き換えてみると私たちビジネスマンも「学ぶべき事がたくさんある」と気づいた。

番組では取り上げていなかったが、山田監督の晩年は「セクハラ問題」を発端に子飼いの弟子を含めて協会から追われた寂しいものだった。
一連のこういった山田イズムも一緒にバレー界から自然と排除されてしまったのなら、もったいないと思う。

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