全国放送で報道されているように、2008年4月28日の未明に、ススキノにある風俗店「江戸城」で火災が発生し、3人が一酸化炭素中毒で死亡した。

この「風俗店の火災」のニュースを聞いたときにまず思い出したのは、2001年9月1日に新宿の雑居ビル「明星56ビル」で発生した、いわゆる「歌舞伎町ビル火災」だ。
この時は、3階のゲーム麻雀店「一休」のエレベーター付近で出火し、4階のセクキャバ「スーパールーズ」の防火扉が閉まらずに、多くの人間が一酸化中毒で死亡した。
当時のデータを調べてみると、死亡した44名のうち41人が一酸化中毒死だった。
(内訳は、3階の19名中16名、4階の28名全員)
ちなみに、この歌舞伎町ビル火災で「防火扉が作動しなかった原因」は、フロアにセクキャバ店で使用する飲料容器やおしぼり、清掃用モップなどが置かれて、塞がれていた状態だったため、防火扉が機能しなかったためだ。

今回の「ススキノ風俗店火災」は雑居ビルではなく、建物全体が一店舗で構成されている。
第一報がテレビで流れた時は店名が報道されなかったが、外観が「お城」を模った特徴的な建物なので現場の映像が出た時に「あの建物だ!」とすぐに合点した。

報道を整理すると、
1)火元は3階の備品置き場に置かれた冷蔵庫付近
2)冷蔵庫や電子レンジの電気配線(例:たこ足配線、劣化など)が原因である可能性が高い
3)熱感知器が設置されていたが、従業員や客は警報ベルを聞いていない
4)亡くなった3名(男性客1名、女性従業員2名)は4階の個室内で発見されている
(※火災当時は、1階に1名(店長)、2階に1名(女性従業員)、3階に6名(男性客の同僚3人、女性従業員3人が店舗内にいた)
5)防火対策に不備があった可能性が高いと見て、業務上過失致死容疑も視野に入れている
6)2007年の3、12月の消防法に基づく立ち入り検査で、4階の防火扉の近くに装飾品があり扉が閉められない状態だった
7)札幌市消防局は改善を要請したが店舗からの報告はなかった
というのが今回の事件の概要だ。

歌舞伎町ビル火災と比較すると「死因がほぼ一酸化中毒死」「防火扉が機能しなかったなど防火対策の不備」という点が共通項である。
一般的に防火対策の不備原因には、
・ビルオーナー、テナント責任者の防火対策の認識と知識の欠如
・防火対策予算が管理されていない
(例:予算不足で設備投資がされていない、管理者が設備投資や訓練予算を渋るなどの怠慢)
が主な要素だと考えられる。

しかし、調べていくと「風営法」(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の絡みもあって、防火対策が不十分だった可能性もあるようだ。
「江戸城」は風営法では「店舗型性風俗特殊営業の1号営業」に分類され、道の公安委員会の届出許可が必要になる。
しかしながら、店舗型の風俗店の出店は条例などの規制により、実態としては殆ど許可されていない。
つまり、消防法で改善命令が出ても、大幅な「店内改装」は「新規出店扱い」として届出しても許可されない。したがって、改装して許可されないのであれば、「廃業」になってしまうので、施設や設備が古くなっても騙し騙し運営することになるようだ。
つまり、風営法で「性風俗特殊営業」は「店舗型から無店舗型へ」の大きな流れがあるので「現在の店舗型が滅びるのを待つ」という方向なのだろう。

話は変わるが、確か博多名物の「ラーメン屋台」も新規の出店許可が条例などにより下りないらしい。
例えば、経営者が高齢になり、息子や弟子に移動式店舗を譲ろうとしても、「新規扱い」となり、実質上「廃業」となるそうだ。
基本的に「移動式店舗は、ゆくゆくは根絶する」が方針だから極力「延命」に繋がることはOKしない。

今回のススキノ風俗店火災の背景にもそのような事情があるとするならば、「なんだか切ないなぁ」と思ってしまうのである。

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