「討論番組の顔」といったら「三宅久之氏」がすぐに浮かぶ。
ご存知の方が多いと思うが、三宅久之氏は「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系列)や「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ系列)にレギュラー主演している元毎日新聞記者の政治評論家だ。
80歳近い今も口角泡を飛ばすで視聴者に分かりやすく主張や思想を発信できる頭の回転力はすごいな、と思う。

三宅氏は一般的には「保守派の論客」「ナベツネさん(読売新聞の渡邉会長)と親友」、「愛妻家」、「漫画は子供の想像力を奪うので、親はなるべく文学を読ませるべし」(サブカルチャー外交批判)、口癖は「ポン助」「ポン子」「まぬけ」「そんな事ありません」「けしからん」などと言い表せられるのではないだろうか。
政治評論家という自由な発想や思想でモノを言える立場であるから当然ではあるが「保守派」でありながら、自民党系議員の主張にも時として疑問を呈し、激論を交わす姿は圧巻である。

ただ、三宅氏はたまに話の論点がずれたところで、他の論客やゲスト出演者の発言の一部が三宅氏の思想信条の琴線に触れて「自然発火」している時がある。
三宅氏と番組共演する事が多い「40代の論客」といえば「勝谷誠彦氏」や「宮崎哲弥氏」が浮かぶが、彼らは三宅氏のそんな「論点がずれているなぁ」にすぐに気がついている。しかし、彼らのうまいところは、三宅氏と話がずれたところで意見対立しないように、つまりは、「論点がずれたままの状態でさらに“自然発火”した三宅氏に、火に油を注がないように」うまく議論を軌道修正して、自分の主張に繋げている。

先日も三宅氏が「たかじんのそこまで言って委員会」で「若干論点のずれた炸裂主張」をしていた。
この日のゲストは大ベストセラーになった「若者はなぜ3年で辞めるのか?年功序列が奪う日本の未来」(光文社新書)などの著書がある人事コンサルタントの城繁幸氏だった。
私は城氏の著書を何冊も読んでいるが、彼の主張は分かりやすいし、理解できる。
確か1973年生まれだから今年で35歳になる方であるが、この番組のゲスト(この番組のゲストはその回のテーマの先生役)としては比較的若い。

確かこの日の話題は、
「優秀な若者が少なくなったのではなく、外資やベンチャーに流れているだけ」
「年功序列制度が崩れつつあると言いながら、既得権を持つ上の世代が若者から搾取している構造が存在している」
「現状のそういったゆがんだ構造を質すべき政治勢力やマスメディアもその構造への批判ができない」
などであったと思う。

しかし、三宅氏は突然「みなさん、この人(城氏)に騙されてはいけません。この人が言うように、優秀な人が外資やベンチャー、金融やマスコミに就業したら社会が成り立つわけがありません。1次産業や2次産業があってこそ社会があるのです」というような趣旨のことを言い出した。
三宅氏の主張はその通りであるが、城氏はこの言葉を聴いてあきらかに「あれ、話の趣旨が違うんだけど・・・」と苦笑いしていたように思う。
恐らく城氏が35歳と三宅氏から見れば「子供や孫の世代」とも言え「世の中を知った風に言うな」という前提的主観も「琴線に触れた」一端だったように思う。

城氏は関東在住なので関東で放映されていない「たかじんのそこまで言って委員会」の流れを把握していなかったのも、切り返せなかった要因のひとつであろう。
後日、城氏のブログをチェックすると、(一部ブログより引用)
「えらい熱の入った討論番組だな」
「たかたじんて、こっちで言うと「みのもんた」みたいな人か」
「パネラーは10人くらいいたが、全員畑違いの人(というかアウトサイダーばかり!)
なのでなかなか上手くかみ合わない」
「一回のコメントで論点まで引っ張って、こちらのピーアールまでつなげるのはなかなか難しいのだ」
という感想が並んでいた。

余談であるが、城氏はこの日のゲストコメンテイターで出演していた「山口もえ」さんの意外な一面にも触れていた。
これは私もテレビを見ているときに同様の感想を持った。
というのも、三宅氏の「炸裂トーク」からいつものごとく、全体の議論が城氏の主張からちょっとずつずれていった。
そのとき山口もえさんが「アンパンマンの歌」を突然歌いだしたのだ。

 ♪ なんのために 生まれて なにをして 生きるのか 
こたえられない なんて そんなのは いやだ! 

城氏がブログで、
「これ、そのまんま核心に触れている。少なくともあの場の人間の中で、問題の本質をもっとも理解していた人だと思う」
というように論点を理解し、的を得ているボケだった。

テレビ的には「三宅氏の自然発火」や「田嶋陽子氏」などとの「言い争い」が面白いから今でも「討論番組の顔」として三宅氏は起用されるのだろう。
「あっ、主張していることはいつもの三宅節で、ご説はごもっともだけど、今日も気がついたら論点がずれているぞ」と観察しながら視聴するのが論理能力を鍛えることにもなる、真っ当な「バラエティ討論番組」の楽しみ方なのだろう。

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