読売新聞のインターネットニュースで2007年12月末に判明した「高校卒業程度認定(高卒認定)試験」の「世界史A」の採点ミス問題で、文部科学省は、被害者1901に対して和解金を支払う方針を固めたことが報道されていた。

和解金の総額は最低でも約7000万円に上るという。
高卒認定試験は2005年度から実施され、年に2回受験日が設定されているので、これまで6回実施したことになる。
和解金の設定方法は、高卒認定試験の合格基準が、合格に必要な科目を一度に合格する必要がないので1901人の内訳を
1)新たに高卒認定試験の合格が判明した80人
2)高卒認定試験の合格時期が実際には早かった250人
3)高卒認定試験の合否には関係ないが、「世界史A」分の合格が新たに判明、もしくは合格時期が早かった1571人
の3分類に分けて、1)、2)の受験者には合格時期が1年さかのぼるごとに十万円、最高で二十万円の和解金を支払い、3)の受験者には、「世界史A」の合格時期が2年以上早まる場合は4万円、1~2年は2万円を支払うこととしたという。
(読売新聞の記事より一部抜粋)

補償問題について「タラレバ」を言い出したらキリがないが、高卒認定試験の合格が実際に1~2年早かった受験生は、大学試験を受けるチャンスが遅くなったばかりか、大学に入学していたとしたら卒業時期も遅くなっており、公務員試験など年齢制限のある採用試験の機会も逸する人がいるだろうから、実際には文部科学省が設定した和解金より多くの損失を被る被害者もいるだろう。

それにしても、高卒認定試験制度が始まってまる3年、計6回の試験が実施されているが「プログラムミス」の発見はなぜそんなにも遅れてしまったのだろう。
高卒認定試験のプログラム製作を委託した日立製作所には申し訳ないが、採点はマークシート方式であり、複数回答の設問や複雑な採点が必要な問題もない。
つまり素人目にも、プログラムとしては単純である。
プログラム製作のテストは一般に、単体テスト、結合テスト、システムテストの段階を経るが、「要求された仕様のとおりに動作するか、性能は十分か」などの検証が不十分だったと言わざるを得ない。

また不思議なのは、文部科学省。
高卒認定試験は問題も解答も一般公開され、受験生は自己採点できる。
各科目の合格点は40点であり、プログラムミスで採点されなかった「6点分」は大きい。
つまり「えっ、合格ラインを突破しているはずなのに。。。おかしい」という受験生の声はあったはずである。
しかし、高卒認定試験に関する問い合わせ窓口は文部科学省にない、あるいは少なくともウェブサイト等で分かりやすく公表されていない。

何を言いたいのかといえば、文部科学省について、
『「受験生」というサービス受益者(要は顧客)の声をキャッチする仕組みが弱い』
といえると思うのだ。
恐らく文部科学省の概念には
・採点システムに誤りがあるはずがない
・高卒認定試験という制度を作って、実施するのが文科省の仕事であって、その質を検証・改善するという認識
については薄いのではないかと思う。

受験生の立場で考えれば「国か実施する試験だし、採点はマークシート方式だからコンピューターが間違うはずがない。俺の自己採点ミスかな」と考える人が多く、それも「プログラムミス発覚」が遅れた原因ではあるだろう。

文部科学省に
「受験生は顧客」→受験生の「声」を収集すると言う概念
「提供している顧客サービスの質を検証、改善する」→PDCAのCAに対する概念
などの「仕事をする基本姿勢・認識・システム」が希薄だったことがこの問題の大きな原因の一つではないかと思う。

【よかったらクリックお願いします♪】
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキングranQ
企業家ブログhttp://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35