ここ最近顕著に、ISOマネジメントシステムを経営に活かそうとしている、いわゆる「真っ当なISO認証企業」の認証機関に対する「逆襲」が始まった気がする。
勝手にISO認証の歴史を感覚的に表すと、
・黎明期(1989年~:取り組む企業は大手製造業中心)
・発展期(1995年~:大手から中堅の建設業、ソフトウェア産業、サービス業に広がる)
・急激な拡張期(1998年~2002年頃:中小企業に爆発的に広がる)
・買い手市場期(2003年頃~:費用の安い認証機関の出現、認証機関の移転が増加)
・多極化期(2006年~:認証返上、とりあえず維持、経営に真に活用などISO認証の利用方法が明確に層別化)
となる。

つまり、現在のISO認証の世界は、上記で言えば「多極化期」にある。
要は、企業規模でいえば中堅以下の層で「認証返上」「とりあえず様子見しながら認証維持」「経営に真に役立てることにのみ注力」と認証に対する考え方が明確に分かれてきている。
冒頭で「真っ当なISO認証企業の逆襲が始まった」と表現したのは、各認証企業の「認証機関に対する要求事項」について認証機関が、
1)審査を経営に役立てるきっかけ作りにしようとしている企業を見誤っている
2)認証機関を変更する理由を見誤っている
事例をよく目にするようになったからだ。

認証機関が「真っ当な認証企業」のニーズや期待である上記1)、2)を見誤る理由は、
a)認定機関や評価委員会ばかりを向いた(or向かざるを得ない)機関運営をしているため
b)「認証機関を変える理由」を「安い費用、近い審査員にしたいから」としか考えていない
c)受審企業の「真の顧客満足(ニーズや期待)」を捉えるだけの仕組みと力量がない
d)派遣している審査員の真の力量を計る能力が無い
からである。

a)の理由は、昨今のISO認証企業の不祥事や事故により「認証審査の厳格化」の大号令が経産省からの暗黙の要望でもあり、それに呼応して認定機関も「認証機関の力量、審査員の力量」といった面を強化している。
方向性としては間違っていないが、実態は「管理のための管理」や「見かけ上の理屈作り」が認証機関の業務として増え、認証企業のフォローにまで頭が廻っていない。

b)、c)、d)の理由は大雑把な共通的な理由は、「事実上、コンサルティング会社への営業を中心に認証機関のビジネスモデルが成り立っていたために、顧客の真の認証審査に対するニーズや期待を掴む能力が向上しなかった」というのが実態である。
要は「コンサル満足」を中心に審査をしてきたからだ。

私の見る限り、「コンサル会社→認証機関という顧客の流れ」を徐々に薄め、「ISOを経営に活用したい企業」ばかりと契約を継続し、「受審企業にいい意味で適切な能力ある審査員を派遣」している認証機関は生き残っていくし、どんどん伸びていくだろう。

「認証機関の事業戦略・業務改善」として「職員の給与水準は変えずに審査員の報酬のみを大幅にカットしている」「自らの審査利権を守るための社内規定を作っている」「いまだにコンサルばかりに営業している」「コンサルにバーターを持ち掛けている(例:お客さんを紹介してくれるなら審査依頼をします)」などをしまくっている認証機関は、「真っ当な認証企業」はもちろん、市場からも大きなしっぺ返しを食らうことになると思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ62号より)

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