週刊誌のSPA!でコラムニストの勝谷誠彦氏が、
『保健所には「監視」と「摘発」の2つの機能を持っている。しかし「摘発」をすることはそれまでの自分たちの「監視」に欠陥があったと認めることになる。事なかれ主義を座右として無事にキャリアを終え天下りだけを考えている役人としては、敢えて火中の栗を拾う必要はないのである』
と保険所の体質を評していた。

う~ん、なるほど。。。
役人に限らず、確かに「自らの仕事に誤りがありました」と認めることを人は恐れる性質がある。
2月20日付の読売新聞朝刊で、苦情対応マネジメントシステム(ISO10002)の記事がかなりのスペースを割いて掲載されていた。その中ではJTフーズや三井住友海上火災保険、関西テレビの事例が取り上げられていた。それぞれ、「農薬混入」「保険金不払い」「番組内容の捏造」という問題(不祥事)が顕在化した企業である。

記事では、それぞれの不祥事には大問題としてニュースになる以前から必ず予兆があったという。
JTフーズについては、消費者から「味がおかしい」、三井住友海上火災については契約者の「保険金の支払漏れ」、関西テレビは視聴者から「放送していたことを実行してもそうならない」などの情報が上がっていたのだ。
しかし、「たまたま」「稀なケース」「人による感じ方の違い」などとして処理されてきたのであろう。
それらの苦情や問い合わせがあったときに、少なくとも
・現物、現状をきちっと確認して判断する
・今までの仕事のやり方に改善の余地がなかったのかを考える
といった発想があれば、問題は大きくならなかった。
例えば、JTフーズなら「委託工場に対して農薬検査を課す」など従来の仕事のやり方を見直してチェック体制を強化するなど対策は打てたはずなのだ。

話を保健所の話に戻すと、ミートホープの加工食肉の偽装事件は内部告発情報が、JTフーズの冷凍食品に対する農薬混入事件では消費者からの調査依頼が保健所や農政事務所(ミートホープ事件)に入っていたという。
しかし、彼らは動かなかった。
これは、
・ルーチン業務以外の余計な仕事を増やしたくない
・保健所の立ち入り検査やJAS工場の認定審査についてケチをつけたくない
・仕事のやり方を改善するなど、面倒なことに首を突っ込みたくない
・問題を組織上層部に問題情報を上げても上層部も嫌がるし、先送りした方が懸命
など、要は「今までの仕事のやり方を変えるのは面倒くさい」との判断があったのであろう。

確かに、現場にしても、現場から情報が上がった管理職や経営者にしても、イレギュラーな仕事が増えるのは、よっぽど時間的に余裕があるか、正義感が強いか、とことん問題点の原因を追究したい性格か、など条件が揃わないと大抵は取り組むことはせず、「受け流す」と思う。
職業人の意識として『自分がしてきた従来の仕事のやり方には改善の余地がまだまだある。またそれに気がつくこと、取り組むことは、極めて重要なことである。問題の種にを受け取った人、気づいた人を責め立てることは絶対によくないこと』という考えにまずは変わらないといけないのだろう。

【よかったらクリックお願いします♪】
ブログランキング・にほんブログ村へ
ブログランキングranQ
企業家ブログhttp://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35