第138回(2007年下半期)芥川賞受賞作である川上未映子氏の「乳と卵」の全文が掲載されているというので文藝春秋3月号を買った。
文藝春秋3月号の352ページから399ページまでの47ページに全文が掲載されていた。
1ページが約1,040文字だから全文でおおよそ48,800字。
単行本にするときは、一冊の分量としてはちょっと尺(しゃく)が足りない気がする。
どうするのだろう?と本文とは関係のない興味が沸く。

受賞作全文掲載ページの前に「受賞者インタビュー」のページがあった。
一読して印象に残ったのは、
・実家には一冊も本がなかった
・10代の後半から自覚的に本を読み出すが、本が無いので国語の教科書を読む
・自分の中に言葉出来ないような不安や問いがあってそれを、本を通して知りたい
・北新地でのホステスのバイトは弟(ラグビー選手)の大学(明治大)学費稼ぎのため
・歌手としてのCDデビューは24歳の時にライブを見たビクターの方がスカウト
・人生論と哲学の違い。小説は圧倒的に人生論(生き方とか人の感情)であり私(川上さん)の抱えている問いはクリアにならない
・「良い作品」と「悪い作品」というのを一般化することは難しい
・小説を書き始めたきっかけはブログ(ブログはアルバムの存在をしてもらうため)
・日記調の単なる自己容認の手段としての文章は書きたくない(読者を意識して読むに堪える文章にするうちにフィクションや空想も交えて書くようになる)
・人気のある面白いブログは大抵、情報系ブログ(三人称で他者について記した文章)
というような部分だった。

特に『「良い作品」と「悪い作品」というのを一般化することは難しい』という部分は『同感』だ。
確かに「良い作品」≠「売れる作品」ではないが、「売れる作品」は一般化できる。
音楽に例えれば、
・歌詞
・曲
・ビジュアル
・宣伝
・話題性
などの足並みがすべて揃って、それぞれのアベレージが上がって突如人々に届くようになる。

川上さんは歌手として上手くいかなかったのは、
・川上さん⇒「シンガーソングライターになりたい」
・レコード会社⇒「女性ボーカリストとして世に出したい」
と初めから噛み合っていないのに、そのまま突っ走ってしまった、と分析している。
この辺の考え方は、他のビジネスの場合も同じだ。
「良い製品」≠「売れる製品」じゃないし、「良いサービス」≠「繁盛するお店」ではない。
『世間のニーズや期待を理解し、マッチしたものを提供する』『モノやサービスを創る方針、ベクトルを合わせる』はビジネスを成功させるための基本である。

おっと、まだ「乳と卵」の全文は読み終わっていない。
読み終わる前に、芥川賞の9人の選考委員の選評を読んだ。
石原慎太郎氏が一番手厳しい内容の選評をしている。
それにしても、文学作品の評価はさまざまだなぁ、と思う。

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