昨年10月に建材メーカーのニチアスによる耐火・防火建材の性能偽装問題が発覚したが、他社にも広がりを見せている。
1月25日に国土交通省が発表した中間報告をもとに整理してみる。

昨年末に全大臣認定品の自社調査指示をした結果:指示企業数1788社
・1月8日の1次発表で判明した不適切建材:40社77件
・1月25日の中間報告で判明した不適切建材:45社98件(累計)
・25日時点での調査対象企業の未発表企業数:約1割(180社程度)
不適切建材98件の内訳
・大臣認定試験の仕様書と異なる製品を使用:12件
・大臣認定製品と異なる製品を販売:81件
・調査中:5件
不適切建材の販売・使用企業45社が使われた建物:約3200棟

不適切建材の主な内容と偽装経緯
例1:芯材を燃えやすい素材に変更したため、大臣認定時より性能が5分の1程度しかない
⇒納期が迫った製品を注文どおりの形状に加工できず、現場が無断で加工しやすい素材を使用(2002年ごろ)
⇒2004年に経営陣はその事実を把握し素材をもとに戻す
⇒しかし、販売分の回収、公表はせず
⇒上記経緯は親会社の役員も把握していた
⇒改修費用は約10億円

例2:合金製折りたたみ戸のガラスを止めるゴム部品を認定取得時よりも燃えやすい素材に変更したため20分の耐火性能が実際には16~18分しかない
⇒商品化の過程で材質を変更したが、耐火性能は十分だと判断
⇒大臣認定の再申請も怠っていた
⇒約1億円を掛けて無償改修実施

上記、例1については、
・現場ぐるみで「偽装」をしたのだから通常の検査では当然偽装は見つからない
・2004年に経営陣が事実を把握したのは、内部通報か内部監査と予想される
・偽装製品の回収や公表をしなかった判断は経営陣の判断ミス
・問題に対して「今後の処置」(素材をもとに戻す)は実施しているが、「過去の偽装品(既販売・使用製品)に対する処置」は不十分、根本的な再発防止策は十分でない可能性がある

例2については、
・材質変更時の耐火性能の妥当性確認が不十分
・大臣認定品の変更申請手続きが不十分
・材質変更や変更申請がなされていない事実について経営陣は把握していたのか?
・経営陣は、国土交通省にからの緊急調査指示までこの偽装事実を把握していなかったとしたら、なぜ内部監査や内部通報は機能していなかったのか?

問題がわかった企業がこの問題を契機に真摯に業務プロセスやシステムを改善し、社内体質を見直すならば、上記点をぜひ、チェックして見直しを検討して欲しい。
また、多くの企業がISOマネジメントシステム認証を取得していたり、上場企業であることから内部監査、内部統制などのシステムを導入している。
なぜ、それらのシステムが機能しなかったのかを、検証してもらいたい。
ただ、経営陣に適切な情報が上がっているのに適切な対応を取っていないケースは、マネジメントシステムの問題とはなかなか言い難い。
「事実を知っていた経営陣は総退陣すべきじゃないか」と顧客や利害関係者は声を大にして言うべきではないか、と思うのである。

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