社会保険庁が宙に浮く年金記録を探し出すために約1億人に送付する「ねんきん特別便」が送付済みの73万人に対して再送することにした。
これを「是正処置」の観点で考えてみる。

まず「是正処置」の定義が、「不適合または望ましくない状況の原因を除去する処置」であるから、「不適合または望ましくない状況」は、
・送付した数に比べて回答が極端に少ない
・回答をしてきた16万人のうち訂正申請が2万人と少ない
・「訂正の必要がない」の回答の44%が実際には記録が漏れている
である。
補足するとすれば、この場合、「回答が少ない」「訂正申請数が少ない」「訂正の必要があるのにないと回答してきた人」⇒「不適合または望ましくない」と評価する指標(判定基準)を決めておく必要がある。

次に「不適合または望ましくない状況が発生している(推定される)原因」である。
これは、
1)不正を警戒し、特別便に漏れたねんきん記録を一切記していない
2)特別便の内容が数字の羅列でわかりにくい
3)社会保険庁が実施する「ねんきん特別便」送付の意味自体がわかっていない
4)特別便に書かれている書式がわかりずらい
5)訂正を申し出ても、どうせ、もらえる額の増加分はわずかである
6)記録漏れがあったのかなかったのか判別が不能
7)訂正申請により記録漏れのその後の手続きが面倒
の手間が面倒
などではないだろうか。

では、上記に対する再発防止策(是正処置案)である。
これは、
a)漏れた年金記録を特別便に記録する(主に、上記1)、6)に対して)
b)特別便の書式や内容を改定する(主に、上記2)、4)に対して)
c)ねんきん特別便の趣旨をよりわかりやすくした説明書類を同封する
(主に、上記3)に対して)
d)訂正した場合の想定増加額を表示する(主に、上記5)に対して)
e)訂正の必要性は認識しているが、訂正自体を放棄したことを表明する同意欄を設ける
(主に、上記5)に対して)
f)訂正申請した場合のその後の手続きを簡素化する(主に、上記7)について)
などが考えられるだろう。

しかし社会保険庁が実施する「再発防止策」は、
・記録漏れを探す手引きを同封する
・ねんきん特別便の書式を一部見直す
・返事のない人には3~6ヵ月後にはがきを出す
程度のようである。

「実施を見送った再発防止策」(是正処置の必要性の評価)の理由は、
・個人記録の追加はプログラムの開発費がコスト、時間とも掛かる
・個人情報保護の観点から、持ち主が確定していない記録は示せない
・別人が「自分の記録」と主張する「なりすまし」を防げない
などのリスクを考慮したようだ。
つまり、上記a)、b)、d)などは「不適合の原因ではあるがリスクを考慮すると再発防止策は実施しない」と評価したことになる。

しかし、再送に伴うこの再発防止策では大した効果は期待できないだろう。
それにしても社会保険庁は、再発防止策(再送)によりどの程度の成果があれば「再発防止策は効果があった」と評価することに社会保険庁はしているのだろう?
再送に対する効果の是非がメディアや国民から問われることになるのは必須であろう。
その時はまた、舛添要一厚生労働大臣は、国民に対して「小人の戯れ言」とでもおっしゃられるのであろうか。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカルシンキングのススメ メルマガ56号より)

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