2000円札は故小渕首相がホスト役になった沖縄サミットを記念して発行された。
そのため絵柄は表が「沖縄県の首里城守礼門」(裏は紫式部・源氏物語絵巻)と建造物の絵柄であり紙幣の絵柄としては日本人に馴染みのある偉人の肖像ではない。
(ちなみに「首里城跡」は「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されている。現在の首里城は復元したものであり世界遺産ではない)
2000円札の現状はといえば、各地の銀行の金庫で眠っているのが実情であり、市中流通枚数は少なく、したがって普及しているといえる状態ではない。
他の紙幣は損耗が激しく、毎年追加印刷しているというから、2000円札の5年連続の印刷見送りは、日本の紙幣史上異例のことらしい。
2000円札が普及していない理由を調べてみると、
1)「2」のつく単位の通貨が日本人に人気(親しみ)がない
(紙幣といえば、「1」と「5」のつく単位であるという認識が国民に浸透している)
2)お客様より不評のため飲食店やスーパーマーケットで店側が客に出さないことを方針とするケースがある
3)銀行のATMによる二千円券出金対応があまり進んいない
4)自動販売機の過半数を占めている飲料やたばこを中心とした100円ないし300円程度の商品を販売する自動販売機の二千円券入金対応は、あまり進んでいない
5)出納危機を製造する企業が慎重になった
(出納機器を導入する企業の立場からすれば、これまでになかった額面券ゆえ、機器更新のみならず保守・運用にも新たなコスト負担が必要な2000円札の入出金対応について景気の不透明感もあり慎重にならざるをえなかった)
ということが主な理由のようだ。
普及していない上記の理由を見てみると、2000円札は「人気がないから使わない」のか「使えないから普及していない」のか「普及していないから使えない」のか「使えないから人気がない」のか「人気がないから普及しない」のか「普及していないから人気がない」のか、たまごが先かにわとりが先か的議論で何が出発点なのかはよくわからないが、これらが市中に出回らない複合的な原因になっていることは間違いないだろう。
とにかく、この状況を見ればわかるように「2000円札発行」は政府として戦略的でなかったことに間違いはない。
2000円札発行が「沖縄サミット記念紙幣」という意味合いだけでなく「産業界の活性化とそれに伴う景気の浮上」を狙ったものであるならば、なんらかの効果的な施策が打てたはずである。
例えば、「ATM」を利用する場合に、2000円札を使用した入手金は時間外手数料を無料にするとか消費者の利用意欲を高める施策である。
2000円札の利用機会が高まれば人気(親しみ)も自然と増すし、出納機器メーカーも2000円札対応機の開発や改良への取り組みも活発になる。
ちなみに私は沖縄に仕事でよく行くが、沖縄では「2000円札流通促進委員会」(委員長は沖縄モノレール㈱の湖城社長)という組織があって2000円札の流通を、県を挙げて促進している。
公共機関の窓口ではでは、つり銭には積極的に2000円札が混じっているし、金融機関で1万円の両替をお願いすると「2000円札のみでもよろしいでしょうか?」聞かれる。
また公的機関や2000円札の流通を応援する企業では県外出張の際に2000円札を1人10枚は持って行き、内地での使用、沖縄観光のPRも奨励している。
このように、政府として2000円札(新紙幣)を発行する明確な目的があったのであれば、流通を促進させるための的確な施策は計画し打てたはずである。
ともかく、このままの状況では電子マネーの利用が活発化している情勢から鑑みて将来的には2000円札は「あっ、そんなお札があったよね」という紙幣になって完全に廃れてしまうだろう。
そうなってしまうとするならば、政府の2000円札発行の目的はいったいなんだったんだろう?
政府なのか国会なのか、その他の人なのかはわからないが、新紙幣発行の目的に対する達成度とその活動の有効性評価など、施策に対する総括はちゃんとされているのだろうか?と思ってしまうのである。
【よかったらクリックお願いします♪】↓

ブログランキングranQ
企業家ブログ→http://www.kigyoukablog.jp/ranki.cgi?id=35