松下製の石油ストーブやパロマ製のガス湯沸かし器の事故の影響もあって2007年11月に消費生活用品安全法が改正された。
この改正により対象製品を製造するメーカーは2009年4月以降、
1)10年を目安にした「設計標準試用期間(標準的な条件の下で使えば安全上支障がない期間)」を本体に表示
2)点検期間を所有者に通知する
3)有償で点検・修理に応じる
ことが義務付けられる。

ちなみに、対象となる製品は、
湯沸かし器(都市ガス、LPガス)2品、風呂釜(都市ガス、LPガス、石油)3品、石油給湯器、石油温風暖房機、電気食器洗い乾燥機、浴室用電気乾燥機の合計9品で扇風機、換気扇、ブラウン管テレビ、エアコン、洗濯機の5品にも設計標準使用期間など老朽化リスクを表示する方向だという。

今までこれらの対象製品は「調子が悪くなったら(故障したら)買い換える」という概念が一般的な感覚であったと思う。
しかし、製品は頑丈になり、機能が増した製品がどんどん登場してきたので、メーカーが想定している使用年限を上回っても買い換えることなく使い続ける人が増えた。
そんな背景より「製品寿命」という概念を明確にする必要性が生じたのではないかと思う。

製品の寿命を考える基礎は「バスタブ曲線」なのだという。
故障の発生時期は3期あり、
1)「初期故障期」:設計・製造上の欠陥、使用環境の不適合により発生
2)「偶発故障期」:安定的な使用期間に発生
3)「磨耗故障期」:経年劣化により発生
だそうで、故障の発生率は1)と3)の初期と終期が高い。
今回の法律の改正は3)の時期を消費者に的確に知らせし、管理する事が目的なのだろう。

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)のデータによると2003-2006年の燃焼機器の地域別事故報告件数は、北海道が最も少なくて100件強、多いのは東北や関東の600件強、九州・沖縄400件強と続いている。
燃焼機器の使用頻度が高い北海道で事故が少ないのは「保守点検」意識の差だという。
ただ、意識の差は「使用頻度とコスト」と関係してくる。
NITEのデータでは、表示された時期に保守点検を受ける人は、
20万以上の製品:40.6%
5-10万の製品:27.8%
3-5万の製品:19.6%
2-3万の製品:18.1%
となっていて価格が安くなるほど下がる。

北海道の人の点検意識が高いのは、暖房器具の年間での使用期間が長く、使用する機器も高価だからであろう。
消費者の意識が上がれば、メーカーや保守サービス会社の「顧客管理レベル(製品カルテなど)」も上がる。
個人的には、製品寿命までに保守・修理に負担してもいいな、というコストは製品本体価格の20%程度ではないかと思う。
それ以上負担するぐらいなら買い換えようという意識が働く。
そう考えると、本体価格が2~3万以下の製品にはそもそも「保守点検」という意識は消費者には働かない。そうなると、メーカーもその価格帯の製品の保守サービスはコストに見合わないから充実もしない。

「保守点検」という概念は大事ではあるが、維持コストを考えれば「この商品は使い捨て商品です」とはっきりと製品コンセプトを表示するメーカーが出て来てもいいのではないかと思う。

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