金融庁が実施する銀行検査の仕組みが全面的に見直しされるという。
銀行検査(金融検査)とは、銀行法などに基づいて預金者保護や信用秩序の維持を目的に金融庁が実施している。
検査の方法は年1回ペースで、金融庁の本庁又は地方財務局の検査官が銀行の店舗に立ち入り、業務や資産内容などを調べ、法令違反や不正が見つかれば銀行に指摘した上で行政処分を検討している。
検査の重点課題は、バブル崩壊後は銀行の貸出債権の不良債権の程度のチェックが中心であったが、昨今は利用者保護や法令順守に検査の主眼が移行しているという。

日経新聞の記事によると「新検査の主なテーマ候補」は、
1)法令を的確に守っているか
2)基幹システムの性能に問題はないか
3)ファンドや証券化商品のリスクを十分に認識し、投資しているか
4)国際業務を適切に運営できているか
5)銀行、証券が一体となったグループがリスク管理できているか
6)顧客への商品説明は適切か
などだという。

金融庁は年明けから早速、
・基幹システムの統合を控えている三菱東京UFJ銀行の準備は順調か
・毎年交替していた主任級の担当検査官の任期を2~3年に延ばす
・任期中に銀行組織の問題点や課題を分析してどんなテーマで、いつごろ検査すべきかを考える
(例:サブプライム関連の損失が膨らんだ銀行には、証券化商品をめぐるリスク管理体制の妥当性を調べる。不祥事が絶えない銀行には法令順守体制に特化して検査する。)
・不良債権、顧客保護、法定順守などの9項目の総合検査から問題が起きそうな項目を重点的に検査する(広く浅くから焦点を絞って深くの検査へ)。
・金融庁検査局の幹部と銀行経営陣との意見交換する仕組みの検討
などにシフトして検査していくという。

この金融庁の銀行検査方法の見直しの考えは全く利に適っていると思う。
マネジメントシステム監査の世界では「プロセスおよび領域の状態と重要性」を考慮して監査計画を組む事が要求されているが、検査がより有効なものとなるためにはマネジメントシステム監査の場合と同じで、現状の組織の問題点や懸念される課題、今後の事業計画に基づく検討事項などに焦点を当てて検査しなければ効率的ではない。

ただ、今までの銀行検査は、前提として「不正や法令違反がないかどうかのあるなし検査」が中心だったわけで、
・金融庁検査官による検査結果から担当検査官が組織の問題点や課題が適切に分析できるかどうか(検査データから担当官が組織を分析する手順や力量はあるか)
・問題を指摘された銀行組織が経営の仕組みを見直す素地があるか(継続的なマネジメントシステムの見直しを自律して実施する仕組みが備わっているか)
が消費者保護や法令順守を通じて社会的責任を満たした銀行であり続けられることを担保した真の意味での銀行検査が果たす役割であり、検査方法の全面見直しによる効果である。
つまりは、銀行検査方法の見直しは「担当官の分析手順や力量の確立」「銀行におけるマネジメントシステム確立」があってこそ活きてくるものなのである。

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