ISOマネジメントシステムに基づく内部監査を企業で実施していて「やりにくいなぁ」と感じる事が多々ある。
やりにくいと感じるケースはいくつかあるが、真っ先にやりづらいケースは「業務内容に不正や誤りがあるか否かを目的として実施する業務監査や家宅捜査的感覚」で被監査側が監査を捉えられることである。
この意識でいるとなかなか真実が見えないし、被監査側は構える態度に出る。
極端な例では最初から喧嘩腰で内部監査の目的を効果的に果たす監査ができない。

「マネジメントシステムの意図が理解されていないなぁ。もしかしたら今日は監査にならんぞ。監査というより教育に切り替えるか、早々に撤収するか」との想像は挨拶が終わって一言ふた言の会話ですぐに気づく。
会話やしぐさの例としては、
(注:矢印は監査側が感じることや本音)
『御手柔らかにやさしくお願いします』
→根掘り葉掘りせず、適当にすませて欲しい
『監査の場に参加させるものが少ない』
→管理職が自分の弱いところを部下に見せたくない
→監査は無駄な時間だから適当に受け答えしておけばよく、参加者は少なくていい
『監査の場に手順書もメモ用紙も用意していない』
→証拠を示さずに口で回答してごまかせばいいと思っている
→インタビュー中にきづ気を得て業務に生かそうという思想がない
『「俺は一生懸命やっている」的発言、態度』
→こちらは組織の仕組みや態勢をチェックしているのであってある人の業績は参考でしかない
などである。

上記のようにマネジメントシステムに関する監査でこの意識を被監査側が持つことは監査が効果的に実施できない一つ理由であるが、監査をコーディネイトする事務局や監査を依頼する経営者側も勘違いしているケースがよくある。
「あっ、監査の意味を理解していないなぁ」と感じるフレーズの例は、
(注:矢印は監査側の本音)
『監査では何を聞かれますか?(事前に質問項目リストが欲しい)』
→そんなものはない。敢えて言うなら監査の対象となるISOマネジメントシステム規格の内容である。そもそもちゃんとISOの意図を組織内に周知させておけばこんな愚問は組織内から出るはずがない
『監査で良い回答をするためのQ&Aはありませんか?』
→これも、そんなものはない。自部門の仕組みを説明すればよく、よい回答などない。あらかじめ用意された予定調和な回答をされると真実は見えない。
『指摘の数はいくつありましたか?』
→単に指摘の数で仕組みの良し悪しは判断できない。
むしろ、真実を話し、問題点を認識している被監査側の方が指摘は多くなるが、そういう部門の方が、自浄作用が期待でき、安心感がある。
『誰の出来が悪かったでしょうか?』
→個人をやり玉に上げる思想が組織にあると被監査側は構え、真実や本音を話さない。
したがって、組織としての改善は図られない
などである。
(後編につづく)

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