今年相次いだ食品業界の不祥事の発端ともいえる洋菓子の不二家でまた賞味期限切れ商品の出荷が発生したという。
不二家はこの商品について農水省に報告し、自主回収するという。
また、農水省はJAS法違反として不二家の報告を精査して行政指導するという。

12月21日の農水省の発表によると、今回の問題は、
1)商品はクリスマス向け商品の焼き菓子(マドレーヌ)の詰め合わせセット
2)ウインターギフトS(6個入り1000円)とL(10個入り1500円)
3)外箱の賞味期限は12月25日であるが12月11日が賞味期限のマドレーヌが混入
4)セット商品は11月30日に野木工場でSとLの合計で160ケース詰め合わせ
5)賞味期限切れ商品が混入した商品は52セット
6)52セットのうち20セットは6店舗ですでに販売
(注:6店舗は数寄屋橋店、西国分寺店、京王永山売店、せんげん台店、七里店、村上売店)
7)賞味期限切れ商品の混入は販売する店舗が発見
という状況のようだ。

上記の流れを見て思ったことは、
a)店舗では外箱と商品毎の賞味期限をチェックする手順には恐らくなっていない
⇒ただ、これは販売する店舗からすれば当然だろう。
まさか工場出荷時点で外箱の期限未満の商品が詰め合わされているとは思わない。
しかし、実際問題として工場での梱包管理(商品の詰め合わせ管理)がずさんなわけであるから、しばらくは店舗で商品を受け入れ時、あるいは商品を顧客への販売時に外箱と中身の商品毎の賞味期限をチェックする手順にしておいたほうが無難であろう。

b)野木工場ではなぜ賞味期限を守った梱包管理できなかったのだろう
⇒工場の状況を確認しなければなんともいえないが、セット商品の詰め合わせは恐らく手作業と思われる。
たぶん、160セットの追加オーダーを詰める際に、焼きあがっているマドレーヌの賞味期限が12月25日以上の商品ストックを準備しなければいけないのに、この準備工程が不十分だったのだろう。
要は、クリスマス向け商品(賞味期限12月25日の外箱)の詰め合わせ作業の現場に「なぜ12月11日が賞味期限の商品(マドレーヌ)を準備してしまったのか?」ということだ。

出荷時の検査でなぜそれがわからなかったのか?という疑問を抱く人もいると思うが、確認しているのはおそらく、「詰め合わせ状態」「外箱の外観」「外箱の賞味期限」程度だろうから、検査では「外箱の賞味期限と中身の商品の賞味期限の適切性」はチェックできていない。
外箱と中身の賞味期限の適切性は「詰め合わせ作業の準備段階」で概ね勝負は決まる。
社内の内部監査や第三者機関の監査では、今年は「賞味期限の管理」がとりわけ注目されているからこの辺りのリスクをちゃんとチェックしていたのだろうか?と思う。

実際問題のところ、マドレーヌは焼き菓子であるので、賞味期限が12月11日であろうと、12月25日に食べても衛生上も味覚的にも問題はないだろう。
ただ、消費者が賞味期限や消費期限に過敏になっている状況からすれば、企業側は管理を徹底しなければ社会の要請に応えられないし、「お家芸である日本の品質」は遥か彼方の昔話となってしまう。

面倒な話ではあるが、工場の管理がヤバイ状態である限り、当分、店舗では必要以上にお客さまへの商品引渡し段階(販売段階)のチェックをせざるをえないのが現状であろう。
他人事的な感想としては、あれだけ企業に打撃を与えたニュースの後でも、なかなか管理体制や企業体質を一気に変えるのは不二家に限らず難しいのかな、と思う。

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