最初に賞味期限ラベルを張り替えていた「吉兆天神フードパーク」だけでなくカタログ販売していた商品のほぼすべてに製造時を起点とする賞味期限ではなく発送時を起点に賞味期限を設定していたようだし、「牛肉の味噌漬け」や「高砂 穴子山椒(さんしょう)煮」、「丹波くろまめ」などは産地を偽装して販売していたのだから、販売品の信用を回復するのは容易ではないだろうから妥当な判断だと思う。
そもそも、船場吉兆に限らず、行列のできる人気料理店が販売品を扱うということは「ご自宅でもお店で出される料理が食べられます」が販売品の基本コンセプトであるはずだろう。
しかし船場吉兆の販売品は「吉兆」の名は付いているが、デザートなど日本料理とは関係のない食品を扱っているから恐らくそのレシピは委託製造業者任せであり、「単にブランドに頼った商売的側面」でしかない。
日本料理的な惣菜商品も単に「ブランドを冠にしただけ」で料亭の料理長同様のレシピや調理(製造)管理がされていたとは思えない。
一方、船場吉兆は料亭の営業再開にあたって、「食材の産地やメニュー表示をチェックする担当者を新たに設置する」という方針を打ち出しているが、そもそも創業家である経営陣が偽装を認識しており、よこしまな認識を持つ経営者の下でチェック機能を設けても顧客の信頼度や安心感はきわめて薄い。
経営陣の退任も併せて実施しなければ料亭の営業再開に対する「けじめ」や「みそぎ」にならないのではないかと思う。
船場吉兆に限らず、賞味期限や産地偽装などの一連の食品不祥事の背景には、
・作り手が安い原材料を求めているため
・大量生産で発生した在庫の解消を図るため
・現場に責任を押し付ける経営側の責任感欠如
・偽装しても実態として健康被害、衛生上の問題が殆どない
・「顧客の信頼」より捨てるのがもったいないという意識が先行している
などが製造側の意識にあるだろう。
しかし、パートやアルバイトが従業員に増えて、
・こんな風に作っていたり、販売しているものを食べたくない
・うちの工場やお店もおかしいのではないか
という「顧客目線」が現場から出やすくなったのではないかと思う。
このことは「製品やサービスを提供する組織の仕組みが顧客に安心されるお墨付き」を与える仕事に携わっているものとして「現場の論理より顧客の論理」が「顧客に安心感を与えるうえでは必要な視点」だとあらためて実感した。
昨今の認証業界は「身内の論理」が通りやすい経歴の人が審査する第三者機関が制度的にも増えているから、我々は肝に銘じていなければならない。
しかし一方では、
・できたてを欲しがる消費者
・低価格を求めすぎている消費者
という「食品に対する理想と現実を理解しない消費者」という側面もあるだろう。
このことは食品だけにいえる事ではない。
製品やサービスを提供する組織サイドは日々、顧客満足度を満たせるように鋭意努力を究極まで追求する姿勢は必要であろう。
しかし、消費者がその理想と限界を認識して「価値あるものにはそれなりのコストが掛かっている」という現実を認識する必要がある。
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