「人々の参画」。
この言葉は組織のパフォーマンスを改善に向けて導くために経営トップが用いる事のできるマネジメントの原則の一つである。
つまり「すべての階層の人々は組織にとって根本的要素であり、その全面的な参画によって、組織の便益のためにその能力を活用することが可能となる」という意味である。

ISO規格をマネジメントのツールとして活用している組織ではこの原則が組織で理解されているのでさすがに最近では「組織の範囲」から一部の部門を除外して組織のマネジメントシステムを構築している例は少なくなった。

以前はよく「この部門は対象外としています」という事例がよく存在した。
よく対象外とされている部門は「経理部門」や「総務部門」、「広報部門」、「人事部門」などだ。
部門という表現が適切ではないかもしれないがその他に「監査役」「派遣社員」「営業サポート要員」などもよくはずされていた。
「派遣社員や営業サポートを」を対象から外したい理由は、以前は「派遣社員で当社の人間でないから」という理屈をつけてくる組織もあったが、派遣社員の場合は「請負」と違って指揮命令系統が組織側にあるので雇用形態が社員と違うだけで残念ながら「理屈として」認め難い。
その他の理屈としては、本音としては単に「対象人員が増えて審査日数や料金(審査に掛かる工数)を増加させたくない」というのもある。
しかし、残念ながらこれも業務が単なる事務作業でマネジメントへの関わりが極めて低くとも対象から外す理屈にはならない。

「人々の参画」というマネジメントの原則より、マネジメントの対象とする事業と全く関係のない部門が組織内に存在しない限り一部組織を除外するケースはなくなった。
しかし「対象としたのはいいが、そのマネジメントシステムの中での自部門の役割が十分に理解できていないケース」は第三者審査や内部監査を実施させていただくとしばしば目にする。
例えば、品質マネジメント(ISO9001)を組織のマネジメントとして採用した場合の「経理部門や人事部門」である。
品質マネジメントの場合は「組織が顧客に提供する製品(サービス)」を軸にマネジメントを考えていくことにはなるから、これらの部門は製品自体には直接関与してこない。
しかし、顧客や供給者(例:協力業者など)との間では請求・支払いは存在する。また「製品やサービスを生み出すために人が全く介在しないこと」はない。
つまり例えば、請求・支払いのシステムに不十分な面があったり、組織が求める人材(要求事項)と乖離する要員を採用し、登用するシステムが存在するとそもそもの「製品(サービス)」自体に影響が及ぶ。

「人々の参画」を考える際には、マネジメントの中で「どのような役割を果たしているのか」を十分に理解させる事ができないとなかなか真の「全員参加型のマネジメント」の構築と運用、改善が回らない。
また、マネジメントに取組む社内的な機運が十分に盛り上がらないことにもつながってしまうのである。

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