2007年9月23日に全日空の大阪乗務センターに所属する男性機長(38)が、乗務の12時間前から飲酒を禁じている社内規定に違反し、約9時間半前まで飲酒を続けていたことがわかり、全日空は機長の乗務を停止するなど処分を下した。
不思議なのは男性機長がこの社内規定違反をしたのが2006年9月のことなのである。
社内規定違反の事実から処分まで1年掛かったのはなぜだろうと考えてみた。

全日空によると、この機長は昨年9月3日午後6時ごろから約4時間にわたり、名古屋市内の飲食店や宿泊先ホテルで元客室乗務員の知人女性らとともに生ビールや焼酎の水割りなど計6杯を飲酒。翌4日、午前7時25分名古屋発の新潟行きなど、エアバスA320型機計4便に乗務した。乗務前のアルコール反応検査では問題がなかったという。

男性機長は今年1月、知人女性に促されて飲酒していた事実を会社側に報告したが、その後、違反はなかったと供述を一転した。機長に前日の飲酒状況についての明確な記憶がないなど、規定違反に関する意識が乏しいことから、全日空は2007年3月に飲酒の有無とは別に、運航本部長注意処分とした。

この流れから全日空の「内部統制」という点で見てみると、
1)乗務前のアルコール反応検査
2)自己申告
3)内部監査
である。
乗務前のアルコール反応検査で問題がなくとも、知人に促されての会社に自己申告したその処分内容に問題があると内部監査で指摘されたのだろうから内部統制機能が働いているといえる。つまり「内部監査の役割は大きかった」と考えられる。

賞味期限ラベルの張替えや料理に使用していた鶏肉の産地偽装が発覚した某老舗料亭では社長が違反の事実を内部監査で仮に入手しても全日空のような内部統制機能は働かなかっただろう。
それは役員自らの偽装指示であったからであるし、社長ももしかしたらその事実を知っていたが老舗の信用を守るために事実を隠したいと考えるだろう。
そうなると内部告発のような形でいつかは外部から問題を指摘されておたおたすることになる。

内部監査結果が適切に活かされるかどうかは、問題を知ったときの「経営者の度量」である。
しかし、経営者自らが隠そうとしたときは内部監査結果の報告先が経営者では無力である。内部監査結果は経営者と利害のない社外取締役や外部の人間で構成された社内委員会に情報が上がらなければ適切に内部統制機能は働かない可能性があると考えるべきなのであろう。

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