相次ぐ企業不祥事であるが、「投資家に対する信用」という観点で考えると「株式を公開または公開を目指している企業」の内部統制の仕組みは確固たるものが確立されている必要があると思う。
もちろん、いわゆる「オーナー企業」も内部統制の仕組みは重要であるが、投資家の観点で考えると不祥事でダメージが与えられるのはオーナー自身で、働いている従業員にとっては不幸であるが「オーナー」=「投資家」の自業自得ともいえる。

最近の話題で言えば、住宅用建材の耐火性能を偽って国の認定を取得していたことを発表した建材メーカーのニチアス、経営破たんしたNOVAは東証やJASDAQに上場していた。
企業が「確実に成長するか」、「安定的な経営をし続けてくれるか」がわかれば投資家にとってこんなに楽なことはない。それがわからないからこそ、投資が「ギャンブル」的な側面を持っていることは自明だし、投資するなら覚悟は必要だ。
ただ、投資家にとって財務面はもとより、業務実態が正確に知らされないのであればそれは問題である。

NOVAに関しては、渡辺喜美金融担当相が「監査法人による会計監査が適切だったか疑問視する見方が出ている」ことについて「問題があれば対処する。開示情報が間違っているとすれば背信行為だ」と述べている。
しかし、監査法人の責任については渡辺大臣がいうまでもなく当然ではあるが、私は例えば猿橋社長の会社私物化の象徴とも言える絢爛豪華な社長室は財務面の監査だけでなく、社内決済はどういった手続きで行なわれたのか、他の取締役陣からの牽制機能は働く仕組みになっていたのかが重要である。
これらの仕組みがないのに「財務面のみ」で企業の健全性、適切性のチェックはできない。
つまり、財務面の適切性を監査法人がお墨付きを出すだけでは、外部の人間にとって判断は不十分である。

ニチアスについてもそうだ。
財務面だけ見れば、ここ数年黒字で業績もよい。
しかし、今回の「建材試験の偽装」について、現経営陣は1年前の社内調査で実態を把握していたにもかかわらず、そのまま販売を続けていた。
公表に踏み切ったのも、関係者からとみられる匿名の投書がきっかけだった。
現経営陣に企業の不正情報があがった際に牽制機能が働かないようであれば、内部統制の仕組みはないと言ってもいい。
現経営陣に不正情報が上がったときに、組織内ではどういった判断をしたのか、またその判断を評価する仕組み(例:業務監査結果を社外取締役や外部機関に通報する制度)はなかったのだろうか、と思う。

企業の健全性を外部の人間が評価できるものとして「財務の健全性」は会計監査制度があるが、「業務の健全性」のもととなる業務の仕組みを評価する制度がないと投資家は安心して投資先を選別する事ができない。
マネジメントシステムの評価としてISO9001や14001の認証制度が有名である。
ただ、ISO認証制度も規格要求事項の適合性に加えて事業継続性に関わる業務リスクを評価したうえでの「お墨付き」でなければ「投資家の期待」に応える制度とはいえないだろう。

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