12日の濱田社長の謝罪会見では「製造後に包装し店頭に並んだ商品のまき直しはない」と発言していたが、18日はその発言を撤回して「店頭に並んだ商品の回収と冷凍保存、新しい謹製日(製造日)の印字」を行なっていたことを認めたのだ。
それだけではなくさらに、店頭に並んだ商品の回収をしてもちとあんこを分離(むき餅、むき餡)し、一部を赤福の子会社で商品として再利用していたことも認めたのだ。
それにしても、一度報告したことが誤っていてその謝罪会見をするのは最悪の事態だ。
今年を振り返れば、不二家の賞味期限切れ原材料の使用について当初は「従業員が判断してやった」と説明していたのが最終的には「組織ぐるみの取組み」であった。
また、ミートホープの牛ひき肉偽装では当初は「ミンチ牛肉に豚の肉が混入してしまった事がある」と説明していたが実際は「社長が豚の内臓などを仕入れてレシピを作り自ら偽装ひき肉製造を指示」していた。
「白い恋人」で有名な石屋製菓も当初は「30周年記念商品の売れ残りについて賞味期限を延ばした」と説明していたが実際は10数年前(包装フィルムを改良後)から賞味期限を偽装していた。
今回の赤福を含めてこれらの「前言撤回」は「社長に真実が挙がっていなかった」という例はなく、いずれも事実を過少に報告した事例である。
私は「マネジメントシステム」や「マネジメントシステム監査」を専門にしているので、「これらの会社に内部監査システムが存在したのであればこれらの不祥事は発生しなかったのだろうか?」という点がどうしても気になる。
結論から言えば、「通常の内部監査をしても不祥事は防げなかった」と思う。
それは内部監査を依頼するのは通常経営層であり、仮に内部監査で経営層にこれらの「偽装情報」が内部監査の結果、監査員より報告されても経営者が真摯にコンプライアンス対応したとは思えない。
ではマネジメントシステムの外部監査ではどうか、ということになるが認証機関に「偽装の疑いがある」という密告(内部情報の通報)情報があったとすると認証機関は「特別審査」などの措置は講じるが「強制捜査の権利」は契約で交わされているわけではないので特別審査でも組織に開示を要請して提出された記録類を見るしかない。
つまり「外部監査があるからちゃんとやらないとバレた場合はヤバイ」という緊張感はあっても、もともと事実を隠そうとしている組織に対してはコンプライアンスの完全順守は期待できないし、それを見抜くことも難しい。
通常のマネジメント監査の考え方は内部監査にしても、外部監査にしても目的は「システムやプロセスの適合性、有効性を含めた適切性」の確認であり、つまり被監査組織の「過失的リスクやミス、脆弱なプロセスおよびシステム」の検出が目的である。
つまり「故意的ミスやモラル違反」の不適合・不適切な業務は通常の内部監査や外部監査はかなり無力である。
そう考えると、
○経営者以外の依頼に基づく内部監査
(例:社外取締役や外部の人間を含めた委員会が依頼者(内部監査結果の報告先)となる)
○不正業務の疑いがある通報があった場合の認証機関の特別審査のやり方
(例:抜き打ち調査や強制調査権限を特別審査の取り決め事項として契約に含める)
などのシステムを考えないと「故意的ミスやモラル違反」はマネジメントシステム監査ではなかなか不祥事が表沙汰になる前に防ぐことは難しいのだと思う。
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