生命保険会社38社の保険金や給付金の不払い総額が910億円になるという。
不払いのパターンは大きく2種類に分かれるそうだ。
一つは「事務的なミス」で、被保険者から請求があったときに特約事項などを見逃して過少支払いとなるケース。
2つ目は「請求通知ミス」で、被保険者が支払いを受けられるのにその手続きを案内しなかったというケース。
生命保険各社はこれらの不払いパターンに対する再発防止策として多くの会社がシステム面の拡充に資源を投入するという。

面白いのは、不払い問題の中身を見ることで各社の体質が見えることである。
例えば、日本生命の場合は不払い額約134億円のうち4割が「失効返戻金」になるという。失効返戻金とは保険料未納で失効した契約者に保険料の一部が戻されるものだ。
失効返戻金が生じるケース、つまり保険料未納になるケースとして多いのが契約を増やすための友人知人などの「名義借り」。
生保業界では営業マンや生保レディに対するノルマがきついので名義借りは常態化している。「名義借り」でとりあえず保険に加入した人はその後保険金を支払うこともないケースが多いだろうし、ましてや失効返戻金を請求することもない。
小額とはいえ、失効返戻金が何万件となれば各社の不払い額の相当の割合を占めるのだろう。
つまり、失効返戻金が多い生命保険会社は「ノルマが厳しい」「ノルマ達成のための名義借り契約が多い」ということになるのだろう。

ところが生命保険大手4社のうち2社はこの失効返戻金分を調査も公表もせずに「不払い問題終了宣言」をした。
これらの会社のウェブサイトを覗いてみると「CSR(企業の社会的責任)に取組んでいます」というようなことばが並び、環境や個人情報など情報セキュリティ、苦情対応、コンプライアンスなどの取組が紹介されている。
ほとんど無理矢理状態で市民を生命保険に加入させて、営業マンにノルマを求める体質自体はCSRと反するのではないのかな、と思ってしまうのである。

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