品質マネジメントシステム規格のISO9001に関して言えば、国内の登録企業数は6万とも7万ともいわれ中堅以上の規模の製造業では認証取得していない企業の方が珍しいし、サービス業でも取得企業は珍しくないものになった。
このISO認証制度は、そもそもは「認証を受けた企業からモノやサービスを買う(または買う可能性のある)人や企業」のために存在する。
モノやサービスを買う立場で考えれば「安い」「早い」「質がよい」が買う基準の目安にはなるが、その秘密として「経営の仕組みがちゃんとある」のであれば安心して買うことができる。
例えば「聞いたことのない飲食店」を利用するときに「当店はISO9001(あるいはISO14001)の認証取得をしています」という案内があれば、
○利用者の期待を満たしている食材の選定基準がある
○スタッフ(例:調理する人、接客する人など)の教育システムがある
○利用者の苦情や要望を今後のサービスに活かす仕組みがある
○環境に配慮した経営の仕組みがある
○経営に対する方針が明確にある
などの仕組みが整っていることが保証されているわけで、要はそのお店をはじめて利用するにあたって「お客さんを欺かない経営の仕組みがある」ことの証(あかし)がある訳だから利用する側にとっては信頼して利用する目安になるはずだ。
ただこの制度が一般人にややこしいのは「商品(モノやサービス)自体の保証」ではなく「商品を製造または提供するプロセス(業務の過程)の保証」であることだ。
だからスーパーに買い物に行っていろいろなメーカーが製造している商品を選ぶ際に「商品」自体を見てもISOを取得している企業の商品かどうか通常はわからない。
なぜならば「商品自体の保証ではないので商品自体には認証シンボル(認証ロゴ)」を入れる事ができないからだ。
これでは一般人にとっての「商品を選ぶときの差別化」にこの制度はつながっていない。
スーパーに「認証取得メーカーの一覧表でも掲示してくれると便利なのになぁ」といつも思う。
スーパーでお客さんが商品を選ぶときに「賞味期限」や「産地」をチェックするのが当たり前になったように、それに加えて「認証取得メーカーであるか否か」のチェックもできるような価値観や習慣にしていかなければ、この制度の意味がないよな、と思っている。
そうすれば、消費者の認証企業や認証機関、認証制度に対する関心が高くなり、目も厳しくなるから制度自体ももっと成熟していくと思う。
現在の方法では、エンドユーザー型商品(モノやサービス)は購入側の視点では選定基準に成り得ていない。
ISOやエコアクション21などの認証制度の発展を関係者が期待し、よりよい社会形成を目指すのであれば、経済産業省や環境省をはじめとした官公庁がこの制度の本質を理解して、買う側の支援、認証取得企業の支援をきちんとするべきだ。
官公庁の人とお付き合いしていて思うのは、例えば「公共工事の発注者の方」あるいは「認証制度を支援・推進するセクションの方」が認証制度の本質的な意味をきちんと理解していない方が非常に多いことだ。
本質的に制度を理解していないと、例えばISOを各種制度の要求事項としていても「形式的なもの」になり、認証取得を要求されている企業にとって従来の制度とリンクせずに認証に取組む負担感だけを感じ、疲弊している企業も少なくない。
ちなみに、私は健康診断を受けるときにネットで「ISO 健康診断 病院 地域名」と入力して検索して「健康診断を受ける病院」を選択した。
でも、こんな風に利用する病院を選んでいる人はISO関係者ぐらいなんだろうな、と思う(苦笑)。
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