何が問題になっているかというと、流山市に「流山おおたかの森」という駅名(つくばエクスプレス)になっている地名がある。
「おおたかの森」とは、流山おおたかの森駅からみて西方にあるおよそ50haの森林「市野谷の森」の通称のことである。
このおおたかの森には絶滅危惧種であるオオタカが生息することから、駅名の一部につくばエクスプレスが開業する2005年8月24日の約1年前に採用された。
「おおたかの森」が駅名(地名)になったことを受けてなのか、たまたまなのかは不明であるが2004年に和菓子、清涼飲料水などの分野で特許庁にある個人が「おおたかの森」の商標登録を申請し、特許庁からこの商標申請は認められ商標登録された。
その後、流山の地元酒店や和菓子店が「おおたかの森」を含んだ商品名の商品を企画開発し、特許庁に商標申請したところすでに「おおたかの森」が登録済みで類似の商標は登録が認められないとして却下された。
商標登録はされなかったがこの酒店や和菓子店はこの商品を販売していたところ、商標権を保有する個人から「商標使用のロイヤリティを環境団体に寄付する仕組みとしたい」旨の企画提案があった。
酒店や和菓子店はこの企画提案に対し、「お金儲けではないか」と不満を漏らし、「商標を商品名として利用する気が元々ない」(現に商標を3年使用していない)として登録取り消しの申請をしている。
これが問題の概要である。
率直なところ、テレビで取り上げられたこのレポートをみて「商標に関するトラブルとしてよくある話しだなぁ」と思った。
「商標権を保有している人」が考えるモデルは、「おおたかの森」の自然を守るために環境団体を設立し、「おおたかの森」を使った商品名の売り上げの一部を環境団体に寄付してもらうというものである。
この考えも一理あるし、この商標に異議や不満を持つ地元商店の気持ちもわからないでもない。
この問題で面白いと思ったのは「特許庁の判断」である。
通常、商標は地名になっているものは登録が認められない。しかし「おおたかの森」はつくばエクスプレスの駅名として決まった後の商標申請であるにも関わらずに登録が認められたことだ。ちなみに、この個人は商標が認められた申請の3週間後に不動産などの商標として「おおたかの森」を申請しているがその申請は「おおたかの森が駅名となることが決まっている」ことを理由に申請が認められていない。
つまり、特許庁の担当審査官が入手した情報の有無によって判断が分かれたのだ。
だから「明確な判断基準が必要」というつもりはない。何万件と商標申請はあるのだからそれを各担当審査官が各自当該案件を判断するしかない。
だから「おおたかの森」という同じ申請でも担当審査官によってある程度判断がばらつく事を承知しておかなければならない。
もちろん、審査官の力量ができるだけどの審査官でも同様の判断ができるような仕組み(例:採用段階、採用後の教育、日常の情報収集など)を設計しておく必要はあるだろう。
番組の最後で「瀬戸大橋まんじゅう 」という商標登録されているお菓子が紹介されていた。
通常なら「瀬戸大橋」も地名扱いとなり商標は認められない。
しかしこの「瀬戸大橋」が商標申請されたのは昭和47年。瀬戸大橋が開通したのは昭和63年だからこのお菓子屋さんは「先見の明」があったのか。それとも本州と四国をつなぐ橋への「熱い想い」だったのだろうか。
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